LOOKについての四方山話(その12)

4-1 OVER-LOOK(1988)


1987年9月から10月にかけての約1ヶ月半、LOOKはレコーディングのためニューヨークへ。この成果は翌年アルバムとして発売されます。


帰国後のLOOKのみなさんは休む間もなく年末まで怒涛のステージの日々。すごいよ。
まずは10月下旬から11月上旬にかけ学園祭8本。
わたしはそのうちの1本、1987年11月8日岐阜県東海女子大学の学園祭を観に行きました。客が少なかったという記録が…。この頃にはライブ会場で会う知り合いも増えてきていた。
学園祭なので90分ぐらいと短め、ミニWINGSツアーという内容だった。


学園祭ツアーの次は11月下旬から12月上旬まで「WINGS TOUR 晩秋の北国編」と題した北海道ツアー。会場は稚内富良野・大樹・弟子屈羅臼・釧路・室蘭・函館・静内。めちゃめちゃ細かいところまで回っている…!
これ、チラシとチケットのデザインが最高だったんですよ!なんだこれ〜〜(笑)
チケットの半券はこのツアーを観に行った北海道の方がくださいました。全国レベルの交流!


さらに12月15日から25日までは恒例のクリスマスライブで全国7箇所。
そのうちわたしは1987年12月16日の愛知勤労会館公演へ。この年初めてコンサートを観たのに、既に年内3本も観ることができている。それだけライブの本数が多く、こっちにも来てくれていたということよね。ありがたやありがたや〜。
チケット。

ライブの構成は、第1部にLOOKの曲、第2部にクリスマスソングを中心としたセット、PATi-PATiコーナー(後述)のちLOOKの曲を少し演り、アンコール。
第1部はWINGSツアーでは演らなかった『時間のメリーゴーランド』を最初に演奏していた。『シャイニン・オン 君が哀しい』『Round at the night』『KNOCK!』など初期曲も披露され、初期のライブに行けなかった自分には嬉しかったなあ。
第2部は弦楽四重奏を迎え、LOOK流にアレンジされたクリスマスソングの数々。はるきちさんが弦楽アレンジを手がけていたのでは。4人のアカペラ、チープサックス独奏、千沢さんが師匠と仰ぐビリー・ジョエル曲と特別メニュー盛りだくさん。とーる君が歌うクリスマスソングの数々には、日本語詞をつけて歌っている曲もあった。あれ誰の詞だったんだろう。
このツアーは雑誌『PATi-PATi』が協賛に入っており、途中「PATi-PATiコーナー」と題するメンバーからのプレゼントコーナーもあった。司会のチープさんがサンタ姿で登場し、抽選で当たったお客さんがステージにあがって直接メンバーからプレゼントを受け取って握手してもらっていた。当たらなかった自分は残念だったけど、イベント感あって楽しかったなあ。
アンコールでは、千沢さんが客席に投げたパーカッションのスティックに一瞬触ったのに他の人に取られるというくやしい出来事が!
最後にはロックなアレンジのオリジナル?日本語詞による『ジングルベル』。
ロビーにはクリスマスツリー、物販スタッフもサンタ姿、客入れのBGMはクリスマスソングと徹底的に盛り上げる雰囲気。そういうエンターテイメントしたところもほんと好きだったわ〜。
わたしもこの日に合わせ、手製のクリスマスカラーの服を仕立て気分を盛り上げていきました。手製の服着てライブに出かけるの既にこの頃から…(笑)


年が明け、1988年1月21日、LOOK7枚目のシングル『ONE DIMEの夢』発売。
わあジャケットに4人全員の写真が載ってる!よかったあ〜〜

久々にシングルでチープさん作詩!そしてシングル初のはるきちさん作曲!


『ONE DIMEの夢』のPVは相変わらずの仮装シリーズ(動画あったけど見られなくなってしまった)。4人が消防士に扮し爆風に立ち向かっていくという内容。史上最高に過酷を極めた撮影。まじ危険!!!爆発音でいい曲が掻き消される〜〜〜(泣)



そして、ニューヨークレコーディングの成果である4枚目のアルバムが1988年2月に発売されます。(続)


つぎの話→ LOOKについての四方山話(その13)…4-2 OVER-LOOK(1988)


==========


Hello Hello!検索からこのページに辿り着いてくださった皆様へ。
80年代後半に活動していたバンド「LOOK(ルック)」について、2016年に回想し、少しながい文章を記しています。
運良くこの文章を拾ってくださり、何かしら感じることがあった方はどうぞ遠慮なくコメントを。
詳しい説明はこちら → 「LOOKについての四方山話」について

LOOKについての四方山話(その11)

3-4 WINGS/Reprise(1987)


『WINGS』がリリースされた1987年、高校に合格したわたしが真っ先に手をつけたのは、LOOK本の製作。中学時代の同人誌への参加をきっかけに、ペンで書いた原稿を印刷所に入稿して作る本を作るのが夢だったのだ。
当時入っていた私設ファンクラブやリアル友人wに声をかけ描き手を募集し、自分も(ていうか自分がほとんど)原稿を描いて入稿し発行したのは8月のこと。A5判44ページ。内容はイラストを添えたフリートークとか創作漫画(うへえ)とか、今見ると自分の書いた原稿がかなり荒い。そして歯に衣着せなさすぎな発言だらけ。お願いだからわきまえてほしい当時の自分!ほとばしる勢いだけで作った感がものすごいな…。
しかしこんな本でもファンクラブの文通コーナー(があったのよ。ほかダビングしてくださいコーナーとか、今じゃ絶対アウトなやつw)で紹介文を載せてもらったこともあり、予想以上にたくさんの方に手に取っていただきました。自分の趣味を活かした(笑)活動だったとはいえ、自分から動いて全国のファンの方々と交流できたのは貴重な体験でした。通信手段が郵便電話のみの時代の話です。
一番よく描けてるの裏表紙のロボットだ


この本を出した頃の1987年8月1日、LOOK7枚目のシングル『ラストシーンから始めよう』発売。前のアルバムが出たタイミング考えるとペースはやい。
相変わらずジャケットにはとーる君ひとりしか写ってませんけど!

B面はクリスマスソング『Ring! Ring! Ring!』。コンサートでは前年末から既に演ってた曲の音源化でした。でもこのシングルが出たのは8月で、季節感ガン無視だったな(笑)。


『ラストシーンから始めよう』のPV(動画あったけど見られなくなってしまった。DVD付きのベスト盤に収録されています。)。相変わらずの仮装シリーズですが、これはそれほど笑いに走ってなくて好きだな。ピエロ姿もハマってますが、素顔の部分がどのシーンもかっこよく絵になっててお気に入りです。
千沢さんがギター持ってるの謎だけど



そしてついに!1987年8月20日愛知県勤労会館「WINGSツアー」。ファンになって2年、ようやく初めてのコンサートです!
当時のチケット

たしかこの時はまだファンの知り合いもなくリアル友人を誘う勇気もなく、ひとりで見に行った。見たい気持ちの方が強かったので、ひとり鑑賞でも平気だった。(今も同じだ)
ファンクラブで取ったのに18列目というなかなかにひどい席で(FCよりもイベンター優先&それなりにファンがいた?)、いまいち生で見ているという実感に欠けた。しかしライブならではの演奏の迫力、ステージパフォーマンス、演奏曲をつなげるようなアレンジ、メンバーそれぞれの話芸(笑)など、この時間この空間でしか見られない世界にすっかり魅了され、アンコール最後の『夢見るシンディ』では感極まってだだ泣きだったらしい。


初めてのコンサート、とにかく何もかも見逃すまいと覚えるだけ覚えて、その記憶をどうしたかというと、懲りずにまた本を作ったのである。B6判30ページのコピーによるコンサートレポート本。大作!
今思うと、このレポート本を出すという行為が、この10数年後からはじまるフリーペーパーや個人ホームページの製作、ブログ、ひいては今のつぶやき感想につながっていると思っています。
何が大作ってサポートメンバーのイラストで1ページ使ってるぐらいw

そして自分の本にセトリがあがってた。若い脳の記憶力すごい。

本編最後の『悲しきプリズナー』→『ANTON』→『7回目のWEEKEND』→『STAR DUST CLUBで人生を…』の流れ、想像しただけでヨダレ出る…!『ロンリー・ダンサー』聴けてよかったな!『時間のメリーゴーランド』演ってない!『ハローロンリネス』はライブの定番だったのに音源化されなかった曲。『シャイニン・オン〜』がセトリから外れている。
ちなみにこのツアー、東京公演は日比谷野音だったのです。ウワ〜見たかった!


ここまで見ると、なんだかわたしだけが本を出しているように見えますが、実は案外ファンの間で本を出す人は多かった。さすがに同人誌まで作るのは少数派でしたが、コピー本はたくさん出てましたね。
中でもコンサートレポート本は、雑誌はおろかファンクラブですらフォローしてなかったセトリやMCの内容など貴重な内容満載。ほんと昔も今もファンってすごいね〜。今でも何冊か手元に置いてあります。


たぶんこの8月のコンサートでチラシをもらったのかな、地元愛知で活動するLOOKのファンクラブの存在を知ることになります。
前にも書きましたがEPICソニーは各地でビデオコンサートを積極的に行っていて、そういうところに来るひとを集め、レコード会社半公認みたいな形で応援団を作っていたのでしょう。所属のアーティストごとに、そして地方の営業所ごとにいくつか組織があったように記憶しています。
活動場所は伏見にあったソニービル。コピーを借りて会報を作ったり、会議室でビデオコンサートや集い(今で言うオフ会)を行ったり。コンサートでチラシを配ってリクエストの呼びかけをしたり(レコード会社の目的はそこだったと思う)。
こうして地元のファンの方々とのリアルでの交流もはじまり、ますます自分の日々の生活の中でLOOKは切り離せない存在となっていきました。


ツアーが終わり9月に入ると、LOOKはなんとアルバムレコーディングで1ヶ月半ニューヨークへ旅立ってしまいました。まさかの展開!(続)


つぎの話→ LOOKについての四方山話(その12)…4-1 OVER-LOOK(1988)


==========


Hello Hello!検索からこのページに辿り着いてくださった皆様へ。
80年代後半に活動していたバンド「LOOK(ルック)」について、2016年に回想し、少しながい文章を記しています。
運良くこの文章を拾ってくださり、何かしら感じることがあった方はどうぞ遠慮なくコメントを。
詳しい説明はこちら → 「LOOKについての四方山話」について

LOOKについての四方山話(その10)

3-3 WINGS(1987)


LOOKはドラムとベースがいないバンドなので、レコーディングはライブのサポートメンバーに加え、曲によってはスタジオミュージシャンも録音に参加していたようです。当時はそれほど気にしていなかったスタッフのクレジット。『WINGS』のクレジットをよくよく見るとこの方が参加してたの?って名前がチラホラと。
シングル曲のアレンジャーとして参加したギター大村憲司さん、キーボード武部聡志さんをはじめ、ドラム青山純さん、村上秀一さん(PONTAさんですよね。大村さんの作品に参加?)、キーボード小林武史さん(!)。ついでに前作『LOOKIN’ WONDERLAND』ではドラムで古田たかしさん(しーたかさん!最近オリジナル・ラブのライブもサポートされてました)も参加されていたようです。
アルファベット表記しかないので、もしかすると同姓同名の方かもしれませんが。曲ごとのプレイヤーリストがなく、どの曲に参加していたのか記録がないのが惜しい。


Side-B


1.時間のメリーゴーランド
作詩:相良光紀 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


イントロから複雑なリズムでAメロがそのままそのリズムパターン。ドラムこれどうなってんの…?メロディへの言葉の乗せ方も独特で、これ歌いこなすの相当大変だ、と今回聴き直して感じたのですが、当時は何の疑問もなくウキウキする曲だな!と聴いてた(笑)。そういうのをさりげなくポップスとして聴かせてしまうところが彼らのすごいところだと思う。
曲の途中に「Any Time」とはるきち→千沢→とーるの順番にソロで歌い重ねる部分があるのだが、3人とも見事に声質バラバラ!よくひとつのバンドでやってたな〜(笑)いや、もちろんそこが魅力だったんですが!
この『時間のメリーゴーランド』『Time on merry-go-round』という言葉は、以降のLOOKのイメージによく使われていた。人気のある曲だったような気がするけど、コンサートでどういう感じで演奏していたかぜんぜん覚えがないな…。
聴かせてあげたいが音源ない


2.恋はフェアリー
作詩:広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


『追憶の少年』のB面曲で、アルバム発売前に発表済み。かわいらしい歌詞のあかるい曲。いや、このかわいらしい歌詞とアレンジに隠された特殊なメロディを見逃してはならない!特にAメロの飛躍っぷりがすごく、これ歌いこなしてたとーる君尊敬する。要所要所に入るコーラスもいちいち良い。Aメロとーる、Bメロ千沢、サビとーるのツインボーカル
うわ音源あった。しゅわっしゅわっしゅしゅ、しゅわっわ〜あ〜♪

恋はフェアリー / LOOK



3.CAT NUPにコテンコテン
作詩:広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


今回聴き直すまで忘却の彼方にあった曲(笑)。どんな曲なのか全く忘れていました。コンサートでもそんなに出番ない曲だったかも。あらでも詩も曲もアレンジもなかなかオシャレ!曲の世界は逆『まるっきりKITTY』?(猫つながりだしw)
『恋はフェアリー』とこの曲は、チープさん作詩だしプチ転調などキーの落ち着かなさがいかにも千沢メロって感じで、どちらかというと今までのLOOKのイメージ。


4.夢の子供
作詩:門谷憲二 作曲:山本治彦 編曲:山本治彦


前回のアルバムに引き続き、今回もはるきちさんの曲が収録されています。しかも、またもやバラード。詳しいクレジットはありませんが、おそらく作詩以外演奏まで全てがはるきちさんの手によるもの。ひとりアカペラコーラスではじまる、すこし転調をはらんだメロディとクオリティの高いアレンジに乗る、スイートボイス。LOOKにおけるはるきちヴォーカル曲は2曲しかありませんが、それだけに印象強く、うっとり聴いてたひとも結構いるのでは(わたしもそのひとり)。
渡辺満里奈への曲提供に始まり、この頃にはさらに作家活動の幅を広げていたはるきち先生。この曲は時任三郎に提供した曲のセルフカバーでした。このはるきち先生、のちにこどもがいるひとはだいたいみんなが知っている音の仕事をすることになるのですが、それはまた、先のお話。


5.追憶の少年
作詩:相良光紀 作曲:千沢仁 編曲:武部聡志


4枚目のシングル曲。初の外部作詞家とアレンジャーの起用で、少し大人なイメージを打ち出したバラード。曲自体は『シャイニン・オン〜』と同時期に既にあったと千沢さんが当時のインタビューで言っていた。『サヨナライエスタデイ』同様、この曲もコーラスがなくとーるヴォーカルのみ。シングルにおけるとーる推し路線…
詩をメンバーが書いていないのが残念だなと思いつつ、ストリングスを使ったアレンジもきれいだし、何より少年と大人のはざまを体現しているとーる君のヴォーカルがこの曲にぴったりで、当時よく聴き込んでいた覚えがある。

ついおくのしょーねん


ところでこのアルバムの歌詞カードなのですが

うわあ表面(右側)とーる君しか写ってない!裏面(左側)は4人写っているものの、とーる君以外の3人ピンボケ!!!
シングルのジャケット写真から嫌な予感はしていたが…アルバムでこの仕打ちはなかろう〜〜〜!
ぜんぜん記憶になかったけどツアーのポスターもとーる君ひとりしか写ってない…メソメソ


『WINGS』は前2作に比べ、メロディが全体的にシンプルになり、外部作詞家外部アレンジャーを入れるなど、大きな変化のあったアルバム。デビューから2年経ち、セールス的にはずっとデビュー曲を越えられず、メンバーもスタッフも道を模索していたのだろうと、いま大人の目から見ると容易にわかる。
当時のわたしも正直この変化にはちょっと戸惑いがあった。本当はもっと自由に、あっと驚くメロディにメンバーが紡ぐ言葉を乗せ、4人で歌ってほしいのに。あらかじめバンドのイメージを作り込むような動きにも少し違和感を感じていた。
しかしデビュー以来驚異的なステージの数をこなし、演奏力もとーる君のヴォーカルスキルもあがりバンド自体は脂の乗っていた時期。好きになればなるほど、メンバー各人の才能と、愛すべきチャーミングなキャラクターにも入れ込んでいた。何より、この時の自分はまだ、生で彼らのステージを見ていない。違和感はあるものの、やはり期待の方が大きかったのだ。


ならば彼らを信じて全力で追いかけるしかないじゃないか。とことんまでついていこう…!


というわけで、よりLOOKにのめりこんでいく1987年の夏。わたしはついに念願のコンサートへ。次回『WINGS』後日談。(続)


つぎの話→ LOOKについての四方山話(その11)…3-4 WINGS/Reprise(1987)


==========


Hello Hello!検索からこのページに辿り着いてくださった皆様へ。
80年代後半に活動していたバンド「LOOK(ルック)」について、2016年に回想し、少しながい文章を記しています。
運良くこの文章を拾ってくださり、何かしら感じることがあった方はどうぞ遠慮なくコメントを。
詳しい説明はこちら → 「LOOKについての四方山話」について

LOOKについての四方山話(その9)

3-2 WINGS(1987)


1987年5月21日、LOOK3枚目のアルバム『WINGS』発売。
ビニールもはがさず帯もついたままよ


ジャケットのイラストは「KEIJI ITOH」さん(アルバムクレジット全てアルファベット表記のみ)。「wingman」と名付けられたこのキャラクターは、当時のコンサートのセットにも巨大な姿となって現れていました。
ところで「KEIJI ITOH」さん。名前に聞き覚えがある。これはもしやキリンジのジャケットも手がけている「伊藤桂司」さんのことなのではないか…?!
こんなのやあんなの


検索等するもそのものズバリの情報には行き着かず。伊藤さんのホームページにも情報はない。しかし伊藤さんが80年代に描かれていたイラストのタッチに限りなく似ている…と思い、Twitterでつぶやいてみたところ、まぎれもなく伊藤桂司さんというご意見が。おおっ!30年越しに自分の中の何かがつながった感…!(その後当時のファンクラブの会報を読んだら、ちゃんと伊藤桂司さんだと紹介されていました)
ちなみにこのアルバムの購入特典、「WINGS」にちなんで羽ぼうきだった気がする。漫画を描く時、消しゴムカス払うのに重宝しましたよ〜(笑)。


Side-A


1.WINGS
作詩:鈴木徹・広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


軽快な「アップビートの」リズムに乗った印象的なシンセの音色でスタートするアルバムタイトル曲。ぐっと洗練されたシンセアレンジが耳を引く。たぶんはるきちさんが中心になって作ったアレンジなのではないかと推察される。はるきちさんは前年にキーボード雑誌で連載を持っていて、そこに機材を新調しているという話を書いてて、その影響かな、と。ちなみにイントロのシンセの音色は、コンサートではチープさんがリリコンってソプラノサックス風の電子楽器で演奏してた。曲は割とストレートな感じ。
そして、とーる君のヴォーカルの表現力も前作より上がっている印象。『追憶の少年』の頃にボイストレーニングに通ったってインタビューが出てきた。


2.サヨナラ イエスタデイ
作詩:相良光紀 作曲:千沢仁 編曲:大村憲司


5枚目のシングル曲。シングルVerはイントロにアコギのカッティングのフレーズが入っているが、アルバムVerはカットされドラムの音からスタートし、すぐに印象的なハイトーンの「サヨナライエスタデイ」というサビはじまり。曲は極力シンプル、アレンジは力強さのあるバンドサウンド。LOOKの曲には珍しく、コーラスもなくとーる君のヴォーカルのみです。
作詩は相良光紀さん。この曲の前に出たシングル『追憶の少年』から突如登場した作詞家。当時の千沢さんのインタビューにデビュー前からの付き合いの方とあり、LOOKと縁は深い方だったんだろうか。元々LOOKが持っていた「愛と夢のファンタジー」というテーマをさらに盛り上げるような内容の詩を提供し、雑誌やツアーパンフにもLOOKの楽曲やメンバーをイメージしたストーリーを多く提供していた(ちょっと小洒落た雰囲気のものが多かった)。今考えるとブレーン的な存在だったのかな、と。
あと、聞いていた高校生当時は全く気づかなかったけど、今回聴き直してあらためてクレジットを見ると、外部アレンジャーを起用している。この頃になるとシングルはチャートインすることもなくなっていたので、いろいろとテコ入れしてたのかしらね…。
Cメロの最後、「旅立ちの朝に」ーーで音を伸ばすところに同じ音のサックスがかぶる現象を、ファンクラブのひとが「シャイニン・オンつなぎ」と呼んでいた(笑)「君がいなけりゃ So Cry」ーーんとこね。
この映像なんだろ?テレビっぽいな

さよならいえすたでぃ



3.マリア
作詩:広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


「マ、リ、ア、」といきなりのピアノ伴奏のみの千沢ヴォーカルはじまりにドキリ。学生時代の恋の終わりを描く1曲(これ卒業ソング?)。千沢とーるのハモりがステキ(大好物!)。後半に登場するハーモニカはチープさんによるもの。語られる物語はせつないけれど、やわらかなメロディとサウンドが仄かに暖かさを与えてくれている。
レコ発のWINGSツアーでは、この曲の演奏前にチープさんがこの曲をテーマにしたお話を聞かせてくれました。コンサートの「お話のお兄さん(チープ)と伴奏のお兄さん(はるきち)」コーナー、懐かしいな。ちなみにこの曲は前年のLOOKIN’ WONDERLANDツアーで既に演奏されていたようです。
千沢ヴォーカルながら、当時はとーるバラードの一番人気『夢見るシンディ』と双璧を成すぐらい、ファンの間では人気があった名作バラードです。


4.ハートに火をつけて
作詩:広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


元ネタは雑誌『PATi-PATi』のLOOK連載タイトル?コンサートの時にみんなで歌える曲を、と作られた曲。「サンバ小僧」(笑)という仮タイトルがついていた通り、サンバのリズムに乗せたパーティーソング。実際コンサートでも盛り上がりみんなで「♪ラララ〜」って歌ってましたね!
この曲も前年のLOOKIN’ WONDERLANDツアーで既に演奏されており、テレビのライブ映像でも放送されていました。その時のライブアレンジが自分の中で基準となっていたので、アルバム収録版の電子なアレンジを聴いた時は、正直なんでこうなった…って気持ちでしたし、30年経ってもその印象は拭えませんよ……(苦笑)
なのでこの曲はやっぱりこっちのイメージだよね!なライブの方を!これ耳コピして譜面に起こしエレクトーンの発表会で弾いたなあ〜ホイッスルも吹いたよ(必死)

はーとにひをつけて



5.STAR DUST CLUBで人生を…
作詩:相良光紀 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


そしてLOOKのパーティーソングといえばこの曲を外しては語れません!思わず踊り出してしまうアップテンポの弾むリズム、アルバムのアレンジはビッグバンド風でゴージャス。作詩は相良さんですが曲が楽しくてそんなに気にならない(笑)「LAから12マイルを」とかは(ちょこざいな、)って思わんでもないですけど(笑)
とーる千沢のツインボーカル曲ですが、珍しいのは1コーラス目が千沢始まりなこと。1コーラス目が千沢→とーる→とーるサビ千沢ハモり、2コーラス目はとーる→千沢→とーるサビ千沢ハモりという流れ。
この曲も(またもや)LOOKIN’ WONDERLANDツアーで既に披露されていたようですが、この曲で千沢さんがピアノを離れ前に出てきてハンドマイクでとーる君と踊って歌うという一大事が!曲の途中でタップダンスの音が入ってて2人でステップなんかしちゃってたんだよね〜!コンサートの定番曲でいつもラスト辺りの大盛り上がり場面で演奏されていました。いつもこの曲来るとコンサートが終わっちゃうんだけどたのしいんだけどやっぱり終わっちゃう〜って気持ちで見てた(笑)。
ではそんな状況がわかるライブ映像を!

すたーだすとくらぶでじんせいを



B面は次回!(続)


つぎの話→ LOOKについての四方山話(その10)…3-3 WINGS(1987)


==========


Hello Hello!検索からこのページに辿り着いてくださった皆様へ。
80年代後半に活動していたバンド「LOOK(ルック)」について、2016年に回想し、少しながい文章を記しています。
運良くこの文章を拾ってくださり、何かしら感じることがあった方はどうぞ遠慮なくコメントを。
詳しい説明はこちら → 「LOOKについての四方山話」について

LOOKについての四方山話(その8)

3-1 WINGS(1987)


LOOKの2枚目のアルバムが出た頃、わたしはLOOKを通じ思い切った行動に出ます。
それは・・・
漫画同人誌への参加(笑)


ノートに鉛筆で漫画やイラストを描いて友達に回覧していたわたしですが、当時無謀にも将来は漫画家になりたいと思っていたので、この頃にはペンとインクで漫画を描くようになっていました。
アニメ雑誌から同人誌というものを知り、友達と地元で行われていた即売会(今で言うコミケ)へ行った時に、いくつか音楽系のサークルが出店していました。音楽のことを描いている同人誌があること自体驚いたし、漫画でコンサートのレポートが描けるんだ!と感激し、気に入った本を購入。
その本で次号の描き手を募集していたので、LOOKのことを描いて本に載りたい!と、連絡して描かせてもらいました。本は大学生の方が作ってたかなあ。アルフィーTMネットワークが載ってる中、LOOKのこと描いてたのはわたしひとりだけでしたけどね。内容はイラストを交えた『LOOKIN’ WONDERLAND』の全曲レビューでした。まだこの時コンサート行けてないし。
『少年の瞳』PVの仮装な4人。中3クオリティ。


ファンクラブのお便りコーナーにもイラストを送っていました。『少年の瞳』のPVの絵(同人誌に書いたのと同じモチーフ。ほんと好きだったなこの仮装w)描いたのがビギナーズラックで載ったな〜。毎回しつこく送っていたので「またこいつか」と思われていたのか、その後の掲載率は低かったんですけど。
あと美術でレコードジャケット描く授業があって、『少年の瞳』のジャケットを描きました。やりたい放題(笑)。こないだ引き出しの奥から発掘したレコードに紛れ、その時描いたレコードジャケットが出てきました。保管してあったんだね。うおう。
でも爆風スランプ(『無理だ!』の頃)のジャケット描いてた奴もいたんやで…
このようにLOOKと漫画(イラスト)という2大趣味を融合させることに成功?した中学3年生のことでありました。
もうLOOKの話だか自身の回顧録だかよくわかんなくなってきた…あっ読んでる方逃げないで…(笑)


ここで暗い話を少しだけ…
わたしは昔から運動が壊滅的にできない人間で、スポーツ至上主義の田舎の中学ではいじめられる部類の人間だったのですが、学校でつぶれずに済んだのは、趣味を通じ学校の外の世界に活路を見出したおかげだと思っています。
なので今つらい子にも、居場所は学校だけじゃないんだよってお伝えしたい。



この頃のLOOKの皆さんは、『LOOKIN’ WONDERLAND』リリースツアーを初夏から夏にかけ全国27公演、さらに秋の学園祭シーズンを挟み、ツアー「第2幕」として年末年始を挟んでまたもや全国28公演を行っていました。今考えるとすごい本数。年末の渋谷公会堂2daysは、資料見ると「X’mas special」と書いてありますね。その後定番となる年末のクリスマスコンサートはこの時から始まったんだ。ちなみに夏の公演も冬の公演も渋公は追加公演を行っていたようです。人気あったのね。
ま、中学生のわたしにとっては関係のない話でしたけどね…(泣)。高校生になったらコンサートに行ってもいいと親に言われていたので、それを一番の励みとして秋冬は必死に受験生の生活を送っていました。


そんな中、1986年11月1日LOOKの待望の4枚目のシングルがリリースされました。それが『追憶の少年』
ここでLOOKに大きな変化が起こります。まずジャケット写真。

とーる君ひとりしか写っていません。他のメンバーがいない!4人でLOOKだと思っていたわたしは少なからずショックを受けました。
前から雑誌でもとーる君をフィーチャーした連載をしてたりで、まあとーる君はリードヴォーカルでアイドル的な人気があるから仕方ないよね〜雑誌だからね〜とは思ってたんですが、レコードのジャケットってこれって…。今風に言うと「公式がそれやっちゃダメだろう!」です。
しかしこの後とーるひとり推し路線はさらに加速するのだ…ガクブル
もうひとつ、この曲は、メンバーではないひとが作詞をしていました。えっ…『LOOKIN’ WONDERLAND』の全員野球は…?
この作詞家さんはさらにこの先のLOOKに深く関わってくる方となります。


『追憶の少年』のPVは、また曲が頭に入らない系のPV!美しい曲なのになんでこの映像って感じでした(笑)。ロボットの中のひとは当時のマネージャー。川のシーンで千沢さんが絶対ロボット突き倒してるw



まあ納得できない部分はあったにせよ、楽曲はやっぱりいいし、何より「春になったらコンサート!夢見てた生のLOOK!」と息巻いていたわたしは無事高校に合格。


【以下書き忘れのため2016.3.16追記


1987年4月22日、5枚目のシングル『サヨナラ イエスタデイ』発売。

またとーる君しか写ってない!!!ひえええ〜〜〜
そして作詞家もまた、『追憶の少年』を書いたメンバーじゃない人でした。なぜ〜〜〜
ちなみにこのレコードは、珍しい「片面シングル」という形で出ました。A面1曲しか収録されていません。ウィキペディアのCDの項に「1986年、販売枚数ベースでCDがLPを追い抜いた。」とありましたので、下火となりつつあるレコードを売るための策だったのかもしれません。


そして『サヨナラ イエスタデイ』のPV。
とーるキスシーンに、全とーるファン激震!!!(わたしは痛手ナシw むしろキレイで好きだったな〜) しかしこのPVいったいぜんたいどんなシチュエーションなの…千沢さんがはるきちさん殴るシーンで必ずフくw
ちなみに前作のPVから、PVのオープニング部分にシングル前作がアレンジされたインストゥルメンタル曲がBGMに流れています(このPVだと『追憶の少年』)。そういうところはおしゃれだったなあ。インストははるきちさんがアレンジを手がけていたものと思われます。


そんな感じでLOOKに起こりつつある変化を感じつつも、当時のわたしは進学が決まった途端に夢を叶えるべく動き出します。それはLOOKの本を出すこと。しかも中学時代に参加した本のように、印刷に出して作るのです。


1987年5月にLOOKは3枚目のアルバムを発売します。そちらについては次回以降。(続)


つぎの話→ LOOKについての四方山話(その9)…3-2 WINGS(1987)


==========


Hello Hello!検索からこのページに辿り着いてくださった皆様へ。
80年代後半に活動していたバンド「LOOK(ルック)」について、2016年に回想し、少しながい文章を記しています。
運良くこの文章を拾ってくださり、何かしら感じることがあった方はどうぞ遠慮なくコメントを。
詳しい説明はこちら → 「LOOKについての四方山話」について

LOOKについての四方山話(その7)

2-3 LOOKIN’ WONDERLAND(1986)


LOOKの2枚目のアルバム『LOOKIN’ WONDERLAND』について、後編B面についてです。
LOOKは4枚アルバムが出ているのですが、わたしはこのアルバムが一番好きです。歌詞カードも何もかも全てが好きで。歌詞カード表面のこの写真!ああ〜かわいい。
はてなの写真ってアップロードするとボンヤリしちゃうのね



Side-B


1.Song For You
作詩:千沢仁・広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


メンバーのアカペラコーラスで始まるあかるく少し懐かしさも感じさせる曲。曲調としては『Hello Hello』の系統。作詩共作だったのか。どの辺が共作だったのかな。
前々回にも書きましたが、この曲は先に12インチシングルのB面に収録されていて、アルバムはイントロ、間奏、アウトロと歌以外の部分が短くアレンジされた短縮Ver。アルバムが出る前に12インチシングルのヴァージョンを死ぬほど聴いていたので、アルバムVerはなんとなく物足りなかった記憶があります。
音源あったんだけど画質音質よくないので保留。


2.7回目のWEEKEND
作詩:広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


この曲当時はそれほどぴんと来てなかったんだけど、今あらためて聴いてみてハッとした。「婚活女子」のことだよこれ!チープ先生30年後のトレンドを先取り(笑)、つか、いつの時代も変わらないってことなのかね。恋に恋するレベルの中学生にゃ、結婚というものに必死になりすぎて自分を見失う女の気持ちなんてわかるはずもないよな〜。
曲はサビ頭でプチ転調があったりでおっと思わせる雰囲気なんだけど、この曲はアレンジも秀逸。Bメロから展開してイントロ、間奏、アウトロのキメモチーフを作っているところとか洒落てるなあ。
たぶん87年頃のライブ映像。とーる君のステージングが派手すぎて大丈夫かな?って一瞬思った(笑) 全身で合いの手の拍手をするはるきち先生にも注目

ななかいめのうぃーくえんど


3.悲しきプリズナ
作詩:広石正宏 作曲:山本治彦 編曲:LOOK


これ好きですねえ〜。はるきち曲には珍しいアップテンポでハード目の曲。Aメロとーる君、Bメロ千沢さん、サビとーる君ですが、Bメロ後半からとーる君のハモりが入りそのままサビも二人でハモって歌っています。パキッとしたキメまくりのアレンジ(派手目のシンセの音色がどれも効いている)、Bメロのバックで鳴ってるサックスの早吹きフレーズもカッコいい。
自分の中では『ANTON』と同じ部類に入る曲で大好物ですが、この2曲以外こういう雰囲気の曲は以降結局出てこなかったのよね。こういったクールな面ももっと見てみたかったなあ…。
(音源見つからず残念よ…)


4.ドリーム・ファクトリー
作詩:鈴木徹 作曲:鈴木徹 編曲:LOOK


LOOKで唯一のとーる君作詞作曲の楽曲。LOOKのために作った曲ではなく、もともとはハードロック少年だった彼が18歳の時に作った地元掛川のことを歌ったというシンプルなロックナンバー。音源には親しみやすく聴けるよう?目覚まし時計やバイクの音など楽しいSEを乗せるアレンジがされています。
コンサートではとーる君がシャウトしまくりギターをかき鳴らし、ドラマー出身の千沢さんはピアノから立ち上がってパーカッションをぶっ叩き、はるきちさんもシンセから離れチープさんとふたりでサックス持って揃いのポーズで演奏をするなど、いつものメンバーと違う面が見られるということで楽しみなナンバーでした。
というわけでそんなメンバーの一面が見られるライブ映像を。後方にいるサングラスのひと、まさにパーカッションぶっ叩きでウケる…これも24時間テレビのライブですね。

LOOK 「ドリーム・ファクトリー」


5.夜明けの不良少年と街角のペ天使のバラード
作詩:千沢仁 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


ハイ!前回お話しした千沢バラードのうち好きな曲1、2を争う曲のもう1曲がこれです。まずタイトルからしてこの破壊力、どうですか。
ピアノのバッキングとふわっとした音色のシンセのみというシンプルなアレンジに乗る千沢さんのヴォーカルは、ひたすらやさしくあたたかい。何よりも、Aメロ(スコアによるとD)、Bメロ(F)、サビ(一応Cだけど…?)がいずれも違うキーという、転調に転調を繰り返す展開がとにかく美しすぎる。自分が転調メロディに惹かれやすい傾向は、千沢さんの作る楽曲に鍛えられたと言っても過言ではないのです。
数多の楽曲を聴いた中で、わたしはこの曲のメロディが最高峰だと思っています。美しいけど過剰に泣きの入らない、まさに歌詞にあるような「少しだけならセンチメンタル」。
同じ千沢バラードでも、『ロンリー・ダンサー』は作詩はチープさんだしバンドで演奏しているということもあってLOOKの楽曲と言えますが、たぶん『夜明けの不良少年〜』はLOOKの楽曲ではなく「千沢仁」の楽曲なんだろうなあと、今回30年経って気づきました。そういえばこの曲自体コンサートであまり聴いた記憶がない。千沢さんとはるきちさんふたりで演奏していたのかしら?覚えがないな…。
音源なくなっちゃった…ショボン
ちなみにイントロの独唱及び間奏のユニゾンにLOOKの楽曲で唯一の女性コーラスが入っていますが、この女性コーラスの正体は千沢さんの実の妹(一般人)。当時のインタビューやら読むと千沢さんは家族のことをめっちゃ大切にされていたご様子で(当時も実家暮らしだった?)、それが現れた結果ということな、の、か…?
CDの歌詞カードには一切載っていませんが、レコードの歌詞カードにのみ、千沢さんと妹さんがレコーディングしている写真が掲載されているのだ…!

しかしA面B面のラストをいずれも千沢バラードが締めくくっているこのアルバムって、思い切ってるというか…リードヴォーカルは誰さ?って感じですね(笑)


と、いうわけでわたしがLOOKの中で一番好きなアルバム『LOOKIN’ WONDERLAND』についてでした。ふー長かったね(笑)
このアルバムがなぜ一番好きかというと、メンバー全員が作詞作曲何かしら担当していて、何よりアルバムのクレジットには「PRODUCED BY LOOK」、最も全員野球で作った(最後の)アルバムだから。と考えていたら、歌詞カードの裏面でメンバーが野球をしておりました…(笑)


1986年晩秋、LOOKは大きな変化をします。うん、今思い返すとあれは大きな変化だったなあと。しかし、高校生となったわたしはそんな変化には気づかず気にしようともせず、いやわりと気にしてたかな。ともあれLOOKを通じ大きく活動の幅を広げていくことになります。そんな翼ひらく1987年については、次回以降に。(続)


つぎの話→ LOOKについての四方山話(その8)…3-1 WINGS(1987)


==========


Hello Hello!検索からこのページに辿り着いてくださった皆様へ。
80年代後半に活動していたバンド「LOOK(ルック)」について、2016年に回想し、少しながい文章を記しています。
運良くこの文章を拾ってくださり、何かしら感じることがあった方はどうぞ遠慮なくコメントを。
詳しい説明はこちら → 「LOOKについての四方山話」について

LOOKについての四方山話(その6)

2-2 LOOKIN’ WONDERLAND(1986)


1986年5月21日に発売されたLOOKの2ndアルバム『LOOKIN' WONDERLAND』(ちなみにWikipedia「ルック(音楽グループ)」の、このアルバムの発売日の記載が間違っているので訂正したいw)。当初3月発売とされていたのに発売日が延びに延び…とーる談「1ヶ月2ヶ月遅れは当たり前」
『シャイニン・オン〜』以降シングルのヒットはそれほど振るわずでしたが、このアルバムはオリコン初登場10位でしたのよ〜!


これがジャケットです。当時発売されたレコードを引き出しの奥深くから発掘して写真を撮りました。ザン!
当時かかっていたビニールカバーもシールもはがさずにちゃんときれいにとってある自分よ〜(ムギュー!)

ジャケットのイラストは、実は当時はピンときてなかったんだけど、今見るとオシャレだなあ、LPサイズに映える!と、描いていたひとを調べてみた。アルバムのクレジットにはアルファベット表記しかないけど、おそらく飯田淳さん。そう、長年『Olive』裏表紙のパーソンズの広告イラスト描いてた方だということに今回30年経って初めて気づいた!歌詞カードの中面も飯田さんのイラスト満載で可愛い。CDの歌詞カードには作品全ては掲載されていないしモノクロ印刷なので、この雰囲気はレコードの歌詞カードでしか味わえない。


Side-A


1.Round at the night
作詩:広石正宏・山本治彦 作曲:山本治彦 編曲:山本治彦


当時アルバムに針を落とし、ヴォーカルの声を聴いた途端そりゃあもう驚きましたよ…!なんと第3の男・メガネ男子の山本はるきちが遂にリードヴォーカルを取った!! 実はわたしLOOKのファンになった当初は千沢ファンではなくはるきちファンでムニャムニャ…(当時描いてた漫画の主人公が彼に似ていたから、と資料に書いてあったんだけど、その漫画のことは一切思い出せないね。しかし当時からメガネ男子好きだったのかw)。なのでこれはわたし的にもファンの間でも当時大事件でしたねえ。
はるきちさんはLOOKではシンセサイザーを担当していましたが、実はマルチプレイヤーで(LOOKのライブでもサックスやドラム演奏を披露してた)、アマチュア時代から多重録音で自主制作盤を作っていました。この曲もベースとサックス以外は全て彼が演奏しアレンジも手がけています。曲自体はアマチュア時代にリットーミュージックのコンテストで賞を取ったもの。なんだか全てが輝かしいな!その曲にチープさんと歌詞をつけて自身で歌ったものです。LOOKのメインコンポーザーは千沢さんでしたが、はるきちさんの曲も負けず劣らずセンスのよいものでした。
この曲に関しては、はるきちさんご本人が当時も後年になってもいろいろ話をしていて、本当は自分がヴォーカルを取るのではなくとーる&千沢のツインボーカルで歌う予定だったとか、1曲目になるはずじゃなかったがプロデューサーが1曲目に決めてしまったとか。しかし、わたしは当時も今もこの曲が1曲目でよかったんじゃないかなあと思っています。LOOKの一番の魅力である多彩さを表していて。とーる君の唯一無二な声とも、千沢さんの渋い味のある声とも違う、はるきちさんのスイートボイスが、よりLOOKの世界を広げることになりました。
ちなみにこの曲はほどなくしてアニメ『ガルフォース』の挿入歌となります。あと、なんと渡辺満里奈のソロデビュー曲『深呼吸して』やシングル『夏休みだけのサイドシート』の作曲も手がけたりと、LOOKと並行しながら山本はるきちの作家活動は案外はやく始まるのです。どういう経緯でそういうことになったのか未だ謎ですが、LOOKがそれだけ業界内でも話題になってたってことなんでしょうかね。


2.少年の瞳
作詩:広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


後年のLOOKのイメージとなった「少年」や「夢」が詩のテーマとしてはっきり出てきた最初の作品か。短めの楽曲で歌詞もシンプル、メロウだけどリズムはさりげなく16ビートで凝っている。
2013年に再発されたCD(音が良くなったらしい。ソニーミュージックオンラインの通販限定品)を最近購入したら、この曲の12インチシングルVerがボーナストラックに入っていて、良く良く聴くとアルバムではヴォーカルとたぶんベースを録り直していることに気づいた。アルバムVerの方がより感情の入った歌声になった印象。
ちなみにLOOKははるきちさん監修のバンドスコアとピアノスコアが1冊づつ出ていて、この曲はその両方に掲載されてるんだけど、両方ともこの曲のアウトロのピアノソロの左手が16ビートで非常に難しいって話が書いてあるよ。確かに譜面には鬼のように細かい音符の数…「さすが千沢はドラマーあがり」ってコメントが(笑)
ちなみにこの曲のPVは曲が頭に入らない系PVの元祖だと思ってる(笑)CGが存在しない時代の手作り感!仮装宙づりミュージシャンにここまでさせるか地獄のような撮影…(DVD付きのベスト盤で見られます)
一部画像に乱れがありますが、1986年夏「24時間テレビ」夜中のライブ映像。この放送、当時生で見た!

しょうねんのひとみ




3.Hello Hello
作詩:鈴木徹 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


LOOKのセカンドシングル曲。『シャイニン・オン〜』のヒットにより2曲目は相当なプレッシャーだったと思うし、当然ヒットも期待されていたと思うんだけど、結果的にはヒットしませんでした。良くも悪くも印象が強すぎた『シャイニン・オン〜』ということか…。
チープさんのサックスがイントロをリードするモータウンサウンド。Aメロはとーる君、Bメロは千沢さん、サビはとーる君のツインボーカル曲。Aメロ前のキラキラしたシンセやサックスと掛け合いするアウトロのオルガンははるきち先生の華麗なる早弾き!千沢さんのピアノも弾んでいる。4人の個性が存分に発揮され、なおかつそれが一丸となってきらめいた、実にLOOKらしい1曲だと思います。今でも聴いたら元気出る。
特筆すべきは「作詩:鈴木徹」。LOOKの作詩作曲のクレジットにはじめてとーる君が登場したのがこの曲です!(ってLOOKの曲にとーる君が登場するのあと1、2曲ぐらいしかないけどな…w)
細かい話ですがこの曲もPVと音源のヴァージョンが全く録音違いですね。
音と画像に一部乱れがありますが、これも1986年夏「24時間テレビ」のライブ映像。

はろーはろー


4.ANTON
作詩:千沢仁 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


千沢リードヴォーカルの、虐げられたひとを描くダークなムードをはらみつつもカッコいい曲。これまでのLOOKにない雰囲気の曲だったので中学生のわたしにはちょっと理解を超えてて最初はとっつきにくかったんだけど、聴けば聴くほどかっこ良くなってきて(まあ千沢曲だしw)今でも好きな曲上位にあがるね。
シンセの音色がスリリングで、サックスもギターもブッ壊れたいい演奏してる。あと30年越しにベースの録音がバッキバキのチョッパーだったことに気づき(笑)これまたいいね、と。今思えば、これちょっとファンクだったのか?
この曲誰かカヴァーして日の目見せてくんないかなあ〜ああああああかっこいいいいいい

あんとん


5.ロンリー・ダンサー
作詩:広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


この曲も千沢さんのリードヴォーカル。LOOKで表に出るシングル曲を担当していたのは当然メインヴォーカルであるとーる君でしたが、アルバムを聴くとツインヴォーカルも含め千沢ヴォーカルの比率が案外高い。特にこのA面の5曲に於いては、なんととーる君半分も歌ってない!ディープなファンはきっと千沢ヴォーカルの比率の高さについてはそんなに気になってなかったと思うけど、とーる君好き♡みたいなライト目なファンはこのアルバムのことを正直どう思ってたんだろうね(笑)。
この曲は前年に行われた最初のツアーから演っていたらしく、ライブに行けなかった当時のわたしはライブのことを書いた記事を見るたびに死ぬほど聴いてみたいって思い続け、音源になるのを死ぬほど待ち焦がれていました。千沢ヴォーカルのバラードは名曲だらけなのですが、この曲は自分の中では1、2を争いますね。争ってるのは同じアルバムに入ってるもう1曲のことなんですが、その曲についてはまた次回に。
静かに滑り込むピアノのイントロから柔らかな歌い出し、サビの高揚感、アウトロの激しいギターの音色が心情に寄り添い、夜があけるかのような眩しいラストまで、まるで一編の物語を読むか如くの6分19秒。
しかし千沢さんの作るバラードってば、『シャイニン・オン〜』しかり、ハートブレイクなつらい心情歌う姿がまあ似合う、っつか(褒めてるのか?)。
ちなみにこの曲は断然ライブヴァージョンがよいことを書き添えておきます。音源にはない千沢さんととーる君のハモりが切なさ倍増でたまらないのです。
と、いうことでライブ音源!これはラジオで放送されたもので、たぶん当時放送を録音したテープはわたしもまだ保管してあると思います。貴重な音源あげてくださったどなたか、本当にありがとうございます!

ロンリー・ダンサー / LOOK



ふう、このアルバム特に好きなもんだから、ついつい語りに力が入って長くなりすぎてごめんなさいね。しかしこれ原曲聴いてないひとには全く通じない話だわね…(笑)。未確認ですがどうやらAppleMusicに入ってるのではないかという話でしたので、興味のある方はぜひ。次回はB面について。(続)


つぎの話→ LOOKについての四方山話(その7)…2-3 LOOKIN’ WONDERLAND(1986)


==========


Hello Hello!検索からこのページに辿り着いてくださった皆様へ。
80年代後半に活動していたバンド「LOOK(ルック)」について、2016年に回想し、少しながい文章を記しています。
運良くこの文章を拾ってくださり、何かしら感じることがあった方はどうぞ遠慮なくコメントを。
詳しい説明はこちら → 「LOOKについての四方山話」について