LOOKについての四方山話(その10)

3-3 WINGS(1987)


LOOKはドラムとベースがいないバンドなので、レコーディングはライブのサポートメンバーに加え、曲によってはスタジオミュージシャンも録音に参加していたようです。当時はそれほど気にしていなかったスタッフのクレジット。『WINGS』のクレジットをよくよく見るとこの方が参加してたの?って名前がチラホラと。
シングル曲のアレンジャーとして参加したギター大村憲司さん、キーボード武部聡志さんをはじめ、ドラム青山純さん、村上秀一さん(PONTAさんですよね。大村さんの作品に参加?)、キーボード小林武史さん(!)。ついでに前作『LOOKIN’ WONDERLAND』ではドラムで古田たかしさん(しーたかさん!最近オリジナル・ラブのライブもサポートされてました)も参加されていたようです。
アルファベット表記しかないので、もしかすると同姓同名の方かもしれませんが。曲ごとのプレイヤーリストがなく、どの曲に参加していたのか記録がないのが惜しい。


Side-B


1.時間のメリーゴーランド
作詩:相良光紀 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


イントロから複雑なリズムでAメロがそのままそのリズムパターン。ドラムこれどうなってんの…?メロディへの言葉の乗せ方も独特で、これ歌いこなすの相当大変だ、と今回聴き直して感じたのですが、当時は何の疑問もなくウキウキする曲だな!と聴いてた(笑)。そういうのをさりげなくポップスとして聴かせてしまうところが彼らのすごいところだと思う。
曲の途中に「Any Time」とはるきち→千沢→とーるの順番にソロで歌い重ねる部分があるのだが、3人とも見事に声質バラバラ!よくひとつのバンドでやってたな〜(笑)いや、もちろんそこが魅力だったんですが!
この『時間のメリーゴーランド』『Time on merry-go-round』という言葉は、以降のLOOKのイメージによく使われていた。人気のある曲だったような気がするけど、コンサートでどういう感じで演奏していたかぜんぜん覚えがないな…。
聴かせてあげたいが音源ない


2.恋はフェアリー
作詩:広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


『追憶の少年』のB面曲で、アルバム発売前に発表済み。かわいらしい歌詞のあかるい曲。いや、このかわいらしい歌詞とアレンジに隠された特殊なメロディを見逃してはならない!特にAメロの飛躍っぷりがすごく、これ歌いこなしてたとーる君尊敬する。要所要所に入るコーラスもいちいち良い。Aメロとーる、Bメロ千沢、サビとーるのツインボーカル
うわ音源あった。しゅわっしゅわっしゅしゅ、しゅわっわ〜あ〜♪

恋はフェアリー / LOOK



3.CAT NUPにコテンコテン
作詩:広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


今回聴き直すまで忘却の彼方にあった曲(笑)。どんな曲なのか全く忘れていました。コンサートでもそんなに出番ない曲だったかも。あらでも詩も曲もアレンジもなかなかオシャレ!曲の世界は逆『まるっきりKITTY』?(猫つながりだしw)
『恋はフェアリー』とこの曲は、チープさん作詩だしプチ転調などキーの落ち着かなさがいかにも千沢メロって感じで、どちらかというと今までのLOOKのイメージ。


4.夢の子供
作詩:門谷憲二 作曲:山本治彦 編曲:山本治彦


前回のアルバムに引き続き、今回もはるきちさんの曲が収録されています。しかも、またもやバラード。詳しいクレジットはありませんが、おそらく作詩以外演奏まで全てがはるきちさんの手によるもの。ひとりアカペラコーラスではじまる、すこし転調をはらんだメロディとクオリティの高いアレンジに乗る、スイートボイス。LOOKにおけるはるきちヴォーカル曲は2曲しかありませんが、それだけに印象強く、うっとり聴いてたひとも結構いるのでは(わたしもそのひとり)。
渡辺満里奈への曲提供に始まり、この頃にはさらに作家活動の幅を広げていたはるきち先生。この曲は時任三郎に提供した曲のセルフカバーでした。このはるきち先生、のちにこどもがいるひとはだいたいみんなが知っている音の仕事をすることになるのですが、それはまた、先のお話。


5.追憶の少年
作詩:相良光紀 作曲:千沢仁 編曲:武部聡志


4枚目のシングル曲。初の外部作詞家とアレンジャーの起用で、少し大人なイメージを打ち出したバラード。曲自体は『シャイニン・オン〜』と同時期に既にあったと千沢さんが当時のインタビューで言っていた。『サヨナライエスタデイ』同様、この曲もコーラスがなくとーるヴォーカルのみ。シングルにおけるとーる推し路線…
詩をメンバーが書いていないのが残念だなと思いつつ、ストリングスを使ったアレンジもきれいだし、何より少年と大人のはざまを体現しているとーる君のヴォーカルがこの曲にぴったりで、当時よく聴き込んでいた覚えがある。

ついおくのしょーねん


ところでこのアルバムの歌詞カードなのですが

うわあ表面(右側)とーる君しか写ってない!裏面(左側)は4人写っているものの、とーる君以外の3人ピンボケ!!!
シングルのジャケット写真から嫌な予感はしていたが…アルバムでこの仕打ちはなかろう〜〜〜!
ぜんぜん記憶になかったけどツアーのポスターもとーる君ひとりしか写ってない…メソメソ


『WINGS』は前2作に比べ、メロディが全体的にシンプルになり、外部作詞家外部アレンジャーを入れるなど、大きな変化のあったアルバム。デビューから2年経ち、セールス的にはずっとデビュー曲を越えられず、メンバーもスタッフも道を模索していたのだろうと、いま大人の目から見ると容易にわかる。
当時のわたしも正直この変化にはちょっと戸惑いがあった。本当はもっと自由に、あっと驚くメロディにメンバーが紡ぐ言葉を乗せ、4人で歌ってほしいのに。あらかじめバンドのイメージを作り込むような動きにも少し違和感を感じていた。
しかしデビュー以来驚異的なステージの数をこなし、演奏力もとーる君のヴォーカルスキルもあがりバンド自体は脂の乗っていた時期。好きになればなるほど、メンバー各人の才能と、愛すべきチャーミングなキャラクターにも入れ込んでいた。何より、この時の自分はまだ、生で彼らのステージを見ていない。違和感はあるものの、やはり期待の方が大きかったのだ。


ならば彼らを信じて全力で追いかけるしかないじゃないか。とことんまでついていこう…!


というわけで、よりLOOKにのめりこんでいく1987年の夏。わたしはついに念願のコンサートへ。次回『WINGS』後日談。(続)


つぎの話→ LOOKについての四方山話(その11)…3-4 WINGS/Reprise(1987)


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80年代後半に活動していたバンド「LOOK(ルック)」について、2016年に回想し、少しながい文章を記しています。
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詳しい説明はこちら → 「LOOKについての四方山話」について