LOOKについての四方山話(その6)

2-2 LOOKIN’ WONDERLAND(1986)


1986年5月21日に発売されたLOOKの2ndアルバム『LOOKIN' WONDERLAND』(ちなみにWikipedia「ルック(音楽グループ)」の、このアルバムの発売日の記載が間違っているので訂正したいw)。当初3月発売とされていたのに発売日が延びに延び…とーる談「1ヶ月2ヶ月遅れは当たり前」
『シャイニン・オン〜』以降シングルのヒットはそれほど振るわずでしたが、このアルバムはオリコン初登場10位でしたのよ〜!


これがジャケットです。当時発売されたレコードを引き出しの奥深くから発掘して写真を撮りました。ザン!
当時かかっていたビニールカバーもシールもはがさずにちゃんときれいにとってある自分よ〜(ムギュー!)

ジャケットのイラストは、実は当時はピンときてなかったんだけど、今見るとオシャレだなあ、LPサイズに映える!と、描いていたひとを調べてみた。アルバムのクレジットにはアルファベット表記しかないけど、おそらく飯田淳さん。そう、長年『Olive』裏表紙のパーソンズの広告イラスト描いてた方だということに今回30年経って初めて気づいた!歌詞カードの中面も飯田さんのイラスト満載で可愛い。CDの歌詞カードには作品全ては掲載されていないしモノクロ印刷なので、この雰囲気はレコードの歌詞カードでしか味わえない。


Side-A


1.Round at the night
作詩:広石正宏・山本治彦 作曲:山本治彦 編曲:山本治彦


当時アルバムに針を落とし、ヴォーカルの声を聴いた途端そりゃあもう驚きましたよ…!なんと第3の男・メガネ男子の山本はるきちが遂にリードヴォーカルを取った!! 実はわたしLOOKのファンになった当初は千沢ファンではなくはるきちファンでムニャムニャ…(当時描いてた漫画の主人公が彼に似ていたから、と資料に書いてあったんだけど、その漫画のことは一切思い出せないね。しかし当時からメガネ男子好きだったのかw)。なのでこれはわたし的にもファンの間でも当時大事件でしたねえ。
はるきちさんはLOOKではシンセサイザーを担当していましたが、実はマルチプレイヤーで(LOOKのライブでもサックスやドラム演奏を披露してた)、アマチュア時代から多重録音で自主制作盤を作っていました。この曲もベースとサックス以外は全て彼が演奏しアレンジも手がけています。曲自体はアマチュア時代にリットーミュージックのコンテストで賞を取ったもの。なんだか全てが輝かしいな!その曲にチープさんと歌詞をつけて自身で歌ったものです。LOOKのメインコンポーザーは千沢さんでしたが、はるきちさんの曲も負けず劣らずセンスのよいものでした。
この曲に関しては、はるきちさんご本人が当時も後年になってもいろいろ話をしていて、本当は自分がヴォーカルを取るのではなくとーる&千沢のツインボーカルで歌う予定だったとか、1曲目になるはずじゃなかったがプロデューサーが1曲目に決めてしまったとか。しかし、わたしは当時も今もこの曲が1曲目でよかったんじゃないかなあと思っています。LOOKの一番の魅力である多彩さを表していて。とーる君の唯一無二な声とも、千沢さんの渋い味のある声とも違う、はるきちさんのスイートボイスが、よりLOOKの世界を広げることになりました。
ちなみにこの曲はほどなくしてアニメ『ガルフォース』の挿入歌となります。あと、なんと渡辺満里奈のソロデビュー曲『深呼吸して』やシングル『夏休みだけのサイドシート』の作曲も手がけたりと、LOOKと並行しながら山本はるきちの作家活動は案外はやく始まるのです。どういう経緯でそういうことになったのか未だ謎ですが、LOOKがそれだけ業界内でも話題になってたってことなんでしょうかね。


2.少年の瞳
作詩:広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


後年のLOOKのイメージとなった「少年」や「夢」が詩のテーマとしてはっきり出てきた最初の作品か。短めの楽曲で歌詞もシンプル、メロウだけどリズムはさりげなく16ビートで凝っている。
2013年に再発されたCD(音が良くなったらしい。ソニーミュージックオンラインの通販限定品)を最近購入したら、この曲の12インチシングルVerがボーナストラックに入っていて、良く良く聴くとアルバムではヴォーカルとたぶんベースを録り直していることに気づいた。アルバムVerの方がより感情の入った歌声になった印象。
ちなみにLOOKははるきちさん監修のバンドスコアとピアノスコアが1冊づつ出ていて、この曲はその両方に掲載されてるんだけど、両方ともこの曲のアウトロのピアノソロの左手が16ビートで非常に難しいって話が書いてあるよ。確かに譜面には鬼のように細かい音符の数…「さすが千沢はドラマーあがり」ってコメントが(笑)
ちなみにこの曲のPVは曲が頭に入らない系PVの元祖だと思ってる(笑)CGが存在しない時代の手作り感!仮装宙づりミュージシャンにここまでさせるか地獄のような撮影…(DVD付きのベスト盤で見られます)
一部画像に乱れがありますが、1986年夏「24時間テレビ」夜中のライブ映像。この放送、当時生で見た!

しょうねんのひとみ




3.Hello Hello
作詩:鈴木徹 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


LOOKのセカンドシングル曲。『シャイニン・オン〜』のヒットにより2曲目は相当なプレッシャーだったと思うし、当然ヒットも期待されていたと思うんだけど、結果的にはヒットしませんでした。良くも悪くも印象が強すぎた『シャイニン・オン〜』ということか…。
チープさんのサックスがイントロをリードするモータウンサウンド。Aメロはとーる君、Bメロは千沢さん、サビはとーる君のツインボーカル曲。Aメロ前のキラキラしたシンセやサックスと掛け合いするアウトロのオルガンははるきち先生の華麗なる早弾き!千沢さんのピアノも弾んでいる。4人の個性が存分に発揮され、なおかつそれが一丸となってきらめいた、実にLOOKらしい1曲だと思います。今でも聴いたら元気出る。
特筆すべきは「作詩:鈴木徹」。LOOKの作詩作曲のクレジットにはじめてとーる君が登場したのがこの曲です!(ってLOOKの曲にとーる君が登場するのあと1、2曲ぐらいしかないけどな…w)
細かい話ですがこの曲もPVと音源のヴァージョンが全く録音違いですね。
音と画像に一部乱れがありますが、これも1986年夏「24時間テレビ」のライブ映像。

はろーはろー


4.ANTON
作詩:千沢仁 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


千沢リードヴォーカルの、虐げられたひとを描くダークなムードをはらみつつもカッコいい曲。これまでのLOOKにない雰囲気の曲だったので中学生のわたしにはちょっと理解を超えてて最初はとっつきにくかったんだけど、聴けば聴くほどかっこ良くなってきて(まあ千沢曲だしw)今でも好きな曲上位にあがるね。
シンセの音色がスリリングで、サックスもギターもブッ壊れたいい演奏してる。あと30年越しにベースの録音がバッキバキのチョッパーだったことに気づき(笑)これまたいいね、と。今思えば、これちょっとファンクだったのか?
この曲誰かカヴァーして日の目見せてくんないかなあ〜ああああああかっこいいいいいい

あんとん


5.ロンリー・ダンサー
作詩:広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


この曲も千沢さんのリードヴォーカル。LOOKで表に出るシングル曲を担当していたのは当然メインヴォーカルであるとーる君でしたが、アルバムを聴くとツインヴォーカルも含め千沢ヴォーカルの比率が案外高い。特にこのA面の5曲に於いては、なんととーる君半分も歌ってない!ディープなファンはきっと千沢ヴォーカルの比率の高さについてはそんなに気になってなかったと思うけど、とーる君好き♡みたいなライト目なファンはこのアルバムのことを正直どう思ってたんだろうね(笑)。
この曲は前年に行われた最初のツアーから演っていたらしく、ライブに行けなかった当時のわたしはライブのことを書いた記事を見るたびに死ぬほど聴いてみたいって思い続け、音源になるのを死ぬほど待ち焦がれていました。千沢ヴォーカルのバラードは名曲だらけなのですが、この曲は自分の中では1、2を争いますね。争ってるのは同じアルバムに入ってるもう1曲のことなんですが、その曲についてはまた次回に。
静かに滑り込むピアノのイントロから柔らかな歌い出し、サビの高揚感、アウトロの激しいギターの音色が心情に寄り添い、夜があけるかのような眩しいラストまで、まるで一編の物語を読むか如くの6分19秒。
しかし千沢さんの作るバラードってば、『シャイニン・オン〜』しかり、ハートブレイクなつらい心情歌う姿がまあ似合う、っつか(褒めてるのか?)。
ちなみにこの曲は断然ライブヴァージョンがよいことを書き添えておきます。音源にはない千沢さんととーる君のハモりが切なさ倍増でたまらないのです。
と、いうことでライブ音源!これはラジオで放送されたもので、たぶん当時放送を録音したテープはわたしもまだ保管してあると思います。貴重な音源あげてくださったどなたか、本当にありがとうございます!

ロンリー・ダンサー / LOOK



ふう、このアルバム特に好きなもんだから、ついつい語りに力が入って長くなりすぎてごめんなさいね。しかしこれ原曲聴いてないひとには全く通じない話だわね…(笑)。未確認ですがどうやらAppleMusicに入ってるのではないかという話でしたので、興味のある方はぜひ。次回はB面について。(続)


つぎの話→ LOOKについての四方山話(その7)…2-3 LOOKIN’ WONDERLAND(1986)


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Hello Hello!検索からこのページに辿り着いてくださった皆様へ。
80年代後半に活動していたバンド「LOOK(ルック)」について、2016年に回想し、少しながい文章を記しています。
運良くこの文章を拾ってくださり、何かしら感じることがあった方はどうぞ遠慮なくコメントを。
詳しい説明はこちら → 「LOOKについての四方山話」について