LOOKについての四方山話(その9)

3-2 WINGS(1987)


1987年5月21日、LOOK3枚目のアルバム『WINGS』発売。
ビニールもはがさず帯もついたままよ


ジャケットのイラストは「KEIJI ITOH」さん(アルバムクレジット全てアルファベット表記のみ)。「wingman」と名付けられたこのキャラクターは、当時のコンサートのセットにも巨大な姿となって現れていました。
ところで「KEIJI ITOH」さん。名前に聞き覚えがある。これはもしやキリンジのジャケットも手がけている「伊藤桂司」さんのことなのではないか…?!
こんなのやあんなの


検索等するもそのものズバリの情報には行き着かず。伊藤さんのホームページにも情報はない。しかし伊藤さんが80年代に描かれていたイラストのタッチに限りなく似ている…と思い、Twitterでつぶやいてみたところ、まぎれもなく伊藤桂司さんというご意見が。おおっ!30年越しに自分の中の何かがつながった感…!(その後当時のファンクラブの会報を読んだら、ちゃんと伊藤桂司さんだと紹介されていました)
ちなみにこのアルバムの購入特典、「WINGS」にちなんで羽ぼうきだった気がする。漫画を描く時、消しゴムカス払うのに重宝しましたよ〜(笑)。


Side-A


1.WINGS
作詩:鈴木徹・広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


軽快な「アップビートの」リズムに乗った印象的なシンセの音色でスタートするアルバムタイトル曲。ぐっと洗練されたシンセアレンジが耳を引く。たぶんはるきちさんが中心になって作ったアレンジなのではないかと推察される。はるきちさんは前年にキーボード雑誌で連載を持っていて、そこに機材を新調しているという話を書いてて、その影響かな、と。ちなみにイントロのシンセの音色は、コンサートではチープさんがリリコンってソプラノサックス風の電子楽器で演奏してた。曲は割とストレートな感じ。
そして、とーる君のヴォーカルの表現力も前作より上がっている印象。『追憶の少年』の頃にボイストレーニングに通ったってインタビューが出てきた。


2.サヨナラ イエスタデイ
作詩:相良光紀 作曲:千沢仁 編曲:大村憲司


5枚目のシングル曲。シングルVerはイントロにアコギのカッティングのフレーズが入っているが、アルバムVerはカットされドラムの音からスタートし、すぐに印象的なハイトーンの「サヨナライエスタデイ」というサビはじまり。曲は極力シンプル、アレンジは力強さのあるバンドサウンド。LOOKの曲には珍しく、コーラスもなくとーる君のヴォーカルのみです。
作詩は相良光紀さん。この曲の前に出たシングル『追憶の少年』から突如登場した作詞家。当時の千沢さんのインタビューにデビュー前からの付き合いの方とあり、LOOKと縁は深い方だったんだろうか。元々LOOKが持っていた「愛と夢のファンタジー」というテーマをさらに盛り上げるような内容の詩を提供し、雑誌やツアーパンフにもLOOKの楽曲やメンバーをイメージしたストーリーを多く提供していた(ちょっと小洒落た雰囲気のものが多かった)。今考えるとブレーン的な存在だったのかな、と。
あと、聞いていた高校生当時は全く気づかなかったけど、今回聴き直してあらためてクレジットを見ると、外部アレンジャーを起用している。この頃になるとシングルはチャートインすることもなくなっていたので、いろいろとテコ入れしてたのかしらね…。
Cメロの最後、「旅立ちの朝に」ーーで音を伸ばすところに同じ音のサックスがかぶる現象を、ファンクラブのひとが「シャイニン・オンつなぎ」と呼んでいた(笑)「君がいなけりゃ So Cry」ーーんとこね。
この映像なんだろ?テレビっぽいな

さよならいえすたでぃ



3.マリア
作詩:広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


「マ、リ、ア、」といきなりのピアノ伴奏のみの千沢ヴォーカルはじまりにドキリ。学生時代の恋の終わりを描く1曲(これ卒業ソング?)。千沢とーるのハモりがステキ(大好物!)。後半に登場するハーモニカはチープさんによるもの。語られる物語はせつないけれど、やわらかなメロディとサウンドが仄かに暖かさを与えてくれている。
レコ発のWINGSツアーでは、この曲の演奏前にチープさんがこの曲をテーマにしたお話を聞かせてくれました。コンサートの「お話のお兄さん(チープ)と伴奏のお兄さん(はるきち)」コーナー、懐かしいな。ちなみにこの曲は前年のLOOKIN’ WONDERLANDツアーで既に演奏されていたようです。
千沢ヴォーカルながら、当時はとーるバラードの一番人気『夢見るシンディ』と双璧を成すぐらい、ファンの間では人気があった名作バラードです。


4.ハートに火をつけて
作詩:広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


元ネタは雑誌『PATi-PATi』のLOOK連載タイトル?コンサートの時にみんなで歌える曲を、と作られた曲。「サンバ小僧」(笑)という仮タイトルがついていた通り、サンバのリズムに乗せたパーティーソング。実際コンサートでも盛り上がりみんなで「♪ラララ〜」って歌ってましたね!
この曲も前年のLOOKIN’ WONDERLANDツアーで既に演奏されており、テレビのライブ映像でも放送されていました。その時のライブアレンジが自分の中で基準となっていたので、アルバム収録版の電子なアレンジを聴いた時は、正直なんでこうなった…って気持ちでしたし、30年経ってもその印象は拭えませんよ……(苦笑)
なのでこの曲はやっぱりこっちのイメージだよね!なライブの方を!これ耳コピして譜面に起こしエレクトーンの発表会で弾いたなあ〜ホイッスルも吹いたよ(必死)

はーとにひをつけて



5.STAR DUST CLUBで人生を…
作詩:相良光紀 作曲:千沢仁 編曲:LOOK


そしてLOOKのパーティーソングといえばこの曲を外しては語れません!思わず踊り出してしまうアップテンポの弾むリズム、アルバムのアレンジはビッグバンド風でゴージャス。作詩は相良さんですが曲が楽しくてそんなに気にならない(笑)「LAから12マイルを」とかは(ちょこざいな、)って思わんでもないですけど(笑)
とーる千沢のツインボーカル曲ですが、珍しいのは1コーラス目が千沢始まりなこと。1コーラス目が千沢→とーる→とーるサビ千沢ハモり、2コーラス目はとーる→千沢→とーるサビ千沢ハモりという流れ。
この曲も(またもや)LOOKIN’ WONDERLANDツアーで既に披露されていたようですが、この曲で千沢さんがピアノを離れ前に出てきてハンドマイクでとーる君と踊って歌うという一大事が!曲の途中でタップダンスの音が入ってて2人でステップなんかしちゃってたんだよね〜!コンサートの定番曲でいつもラスト辺りの大盛り上がり場面で演奏されていました。いつもこの曲来るとコンサートが終わっちゃうんだけどたのしいんだけどやっぱり終わっちゃう〜って気持ちで見てた(笑)。
ではそんな状況がわかるライブ映像を!

すたーだすとくらぶでじんせいを



B面は次回!(続)


つぎの話→ LOOKについての四方山話(その10)…3-3 WINGS(1987)


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80年代後半に活動していたバンド「LOOK(ルック)」について、2016年に回想し、少しながい文章を記しています。
運良くこの文章を拾ってくださり、何かしら感じることがあった方はどうぞ遠慮なくコメントを。
詳しい説明はこちら → 「LOOKについての四方山話」について