LOOKについての四方山話(追記2)

ex-2 The Becauz/Becauz(1992-1995)


L3C活動休止後、風の便りに千沢さんチープさん大和さんがあたらしいバンドをやっていることは聞いてはいたのですが、当時は大学近くののんびりした田舎で暮らしていたため情報も入ってこないし、すっかりサークル活動(演劇)に没頭していたもので、いつしかLOOKもL3Cも聞かない生活に。
そして時は過ぎ大学4年に。この年より就職氷河期に突入。94年3月に大学を卒業したものの、新卒で採用されることはなく(ていうか演劇の次は卒論に打ち込みすぎて途中で就職活動を降りてしまったw)、就職浪人の身に。ここでようやく就職試験を受けるために猛勉強をし(遅い)、その成果あってかなんとか採用が決まり、就職までの数ヶ月間は家事手伝いをしつつバイトで小遣いを貯める生活をしていました。


そんな94年のある日、中古屋で風の便りに聞いていた千沢さんチープさん大和さんのバンドのCDを発見しました。一応気になるしと購入。聴いてみたらやっぱり好きだなあ、もっと情報が知りたいなあ、と、遅まきながら夏前ごろだったでしょうか、ファンクラブに入り直したのです。
そのバンドがBecauz(ビコーズ)でした。


わたしがCDを発見した時にはすでにチープさんはバンドを脱退していて、Becauzは千沢さんと大和さんの2人で活動を続けており、3枚目のアルバムが出た頃でした。
94年8月に名古屋のFM局でミニライブが行われ、はじめて生でBecauzを見ました。とてもよかったようで、ファンクラブに送ったこの日の感想のお便りとイラストが、後日会報に掲載されていました(すっかり忘れていましたが…)。ライブの後でファンクラブの集いが行われるということでそちらにも参加。集いといっても数名のファンとメンバー、スタッフで、喫茶店でお茶をした程度のものだったのですが。そこで人生二度目の千沢さんに直接お目にかかったのです。残念ながら何を話したかは覚えていません。
次に名古屋にライブ来てくれたら絶対行こうと思っていたのですが、なかなか地方に来ることもなく、結局95年の年明けにBecauz解散のお知らせがファンクラブから届き、千沢さんは作曲家として裏方に、大和さんはソロで活動という道を選ばれたのでした。


好きになってすぐに解散ということになってしまったのでBecauzについては当時の記憶はほとんどありません。もっとも、本当に好きだったら東京までライブを見に行っていたと思うので(当時好きな劇団はしょっちゅう東京まで見に行っていましたし)、遠征するほどでは…という程度の熱量だったのでしょう。
むしろきちんと音源を聴き直している今の方がBecauzを熱心に聴いているかもしれません。
当時のファンクラブの会報見てると千沢さんのバースデーライブやったりしてるのよね〜どうしてそこ食いつかなかった自分よ


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さてさて、Becauzは何気にアルバム3枚も出してるのです。LOOKが4枚出してるのに匹敵するくらい。
全てヴォーカルは大和さん。L3Cに続きBecauzでも千沢さんチープさんソロヴォーカル曲はありませんでした。作詞は外部作家の方以外は全て大和さん(チープさんの作詞なし)。作曲は大和さん6割千沢さん4割。アレンジは1枚目2枚目はThe Becauzとあります。


Becauz/The Becauz(1992)

1枚目のアルバム。LOOKともL3Cとも音楽性がガラッと変わり、おおむね大和さんの趣味が全開となった仕上がりとなっている。わたしは洋楽疎子なんですけど、そんなわたしでも初期ビートルズの影響を受けた曲が多いのはなんとなくわかる…つか、影響を受けたというかリスペクトというかまあ…なので、賛否が分かれそう(笑)。
でも、アルバム全編を通じ、大和さんの歌もメンバーの演奏も生き生きと弾けていて、個人的にはL3Cよりも好みかもしんない!


1曲目の『Club Mersey Beat』
マージービートと言ってはいますが、どっちかというとファンキー。イントロのピアノのフレーズから浮き立っちゃう千沢曲。Let’s dance feel all right!

The Becauz「Club Mersey Beat」
『LADY ANNA』
わっ、PVだ!シングルだったらしい。ビートルズの影響モロ受け。大和曲。余談ですが、Becauzになってから千沢さんがヒゲをたくわえるようになったんですけど、メガネ+ヒゲの組み合わせがかわいくて好きだなあ〜(サングラス+ヒゲは見た目の威圧感がすごいんで逆に好みでない…)

The Becauz/LADY ANNA
『あの歌が聞こえてくる』
サビはじまりがキャッチー。このアルバムの大和曲がどれも直球なのに比べ(いやここまで直球だと逆に微笑ましく思う)、さすが千沢曲は一味違うなあ。これはLOOK系統なポップでちょっとせつない雰囲気もある楽曲。随所に見え隠れするビートルズ的な音色が個人的には馴染んでない感もあるけど、まあ当時はこういう気分だったんでしょう。

The Becauz「あの歌が聞こえてくる」
2016.5.25追記。『あの歌が聞こえてくる』当時のPVが新たにアップされていました。わたしの好物のメガネ+ヒゲの千沢さんや〜!コーラスのお姉さんがベッド・イン並みのバブルスタイルw

The Becauz "あの歌が聞こえてくる" PV
『Silly Girl』
これはビートルズじゃなくてスタイルカウンシルなやつ。大和曲。詞がエロい。(『Open Your Bag』しかり、大和さんの書く詞にやたらエロいものが多い件)

The Becauz「Silly Girl」
あと音源ないのですが、『浮気なDream』って千沢曲がありまして、この曲LOOK以降で唯一はっきりと千沢さんのソロヴォーカルが聴ける曲なんですよね。と言っても「♪うーわっきなドリーム」ってほんの短いフレーズなんですけど、いやほんとまじ貴重な1曲…。そしてこの曲呑気に聴こえて実はAメロの譜割りとかサビの高低差とか実は難曲では?千沢さん、大和ならこれ歌えるだろうって書いたんだろうか。それから千沢曲ではバラードの『Ma Belle』もマイナーキーとメジャーキーを行き来する彼らしいドラマティックなメロディです。
大和曲では『5分前の二人』(詞が男性と女性の掛け合いになってるのおもしろい)、『Change My Love』が好きですね。


Something New/The Becauz(1993)

チープさんが脱退したのち、大和千沢の2人になってから作ったアルバム。詳細不明だけど1stアルバムを出した後?事務所が潰れて活動休止を余儀なくされたりしてどうも大変だったらしい…無事あたらしい事務所も決まりリリースした2枚目。チープさんは脱退したものの、サポートとしてライブには時々出演していたみたいで、アルバムにも参加しています。
相変わらずビートルズの影響が強い曲もあるが、前作よりバラエティに富んだ曲調で面白い仕上がり。9割方恋愛の詞しか書かない大和さん(失礼ですよw)が、このアルバムではお父さんとお母さんについてそれぞれ1曲ずつ書いてるのもいいんだよねえ。1枚目3枚目に比べればちょっと地味だし(笑)、後日談によるとこのアルバム辺りから音楽性にズレが生じ2人の間でしっくりこない部分もあったようですが、わたしはこの2枚目がいちばん好きです。
しかしあくまで個人の感想なのですが、ジャケットや歌詞カードのデザインが致命的にダサくてほんともったいない…。どうしてこうなった〜(泣) その辺のインディーズの方がずっとおしゃれなデザイン……。演奏クレジット漏れも多い気がする。これ明らかにサックスチープさんが吹いてるよね?というものに表記がなかったり。
コーラスで2枚目3枚目に参加してるMelodie Sexton(メロディー・セクストン)さんって、どこかで目にしたお名前だと思うけど、思い出せない…オリジナル・ラブ界隈だったか……


『あのときめきをもう一度』
曲の好き度としてはまあまあな方なんですが(すまん)、PVがあったので(これは…資料映像?w)。映像の中の古いフィルムは実際の大和家のものだそうです。

The Becauz/あのときめきをもう一度
『ILLISIT LOVE』
かっこいい。好き。大和曲。アレンジがアシッドジャズ期のオリジナル・ラヴみたいだけど(笑)。大和曲では他に『明日、君に愛を』『FADE AWAY』がお気に入りなのですが、いずれもソウル、ジャズっぽい雰囲気の曲調。大和さんの音楽性の変化はこの辺りから…?

The Becauz "ILLICIT LOVE"
『輝いていて』
明るく弾けている楽曲。当時朝日新聞のCMソングだった。大和曲。こちらもPV。映像にはチープさんもいます!ところで「心が 溜め息く時」って歌詞が出てくるんだけど「溜め息く」って表現は初めて聞いたな…

The Becauz "輝いていて" PV


あと『LET’S FRY TO THE SKY』って千沢曲、これわたしがBecauzでいちばん好きな曲です。微妙に転調する千沢メロの美しいところがぜんぶ入ってて、あらためて聴いたらあまりの素晴らしさに震えましたね…!歌いこなすのが難しそうです。
というわけでBecauzの演奏ではないのですが、17年後に歌いこなしている大和さんソロライブの音源を。途中で終わっちゃいますけど

大和邦久 "LET'S FLY TO THE SKY"
このアルバム千沢曲にほんと良いものが多く、『別れの言葉』ってピアノバラードは4拍子なのにサビで3拍子+2拍子になったり(感覚で作曲してる…?!)、『DEEP INSIDE YOU』ってポップでサビの大和千沢のハモりも気持ち良いが直球エロな(大和の詞のせいw)曲も好きすぎる。


I’m IN LOVE/Becauz(1994)

3枚目のアルバム。このアルバムからバンド名が「Becauz」名義に。
前作までのビートルズ色が一掃され、アレンジをジャズピアノを専門とする外部の方に全面的に任せたAOR・シティポップ感満載のキラキラした仕上がり。前作からコーラスに海外シンガーが参加していましたが、このアルバムではそのコーラスを全編に渡り取り入れていてなんだかゴージャス。歌詞も半分以上外部の方が手がけている(L3Cに続き松井五郎さんまたまた登場)。
わたしが現役でBecauzを聴き始めたのがこの頃だったので、Becauzと言えばこのアルバムの印象が強かったのだが、今聞くと異色作だったんだな。確かに前作までとは違うバンドみたい。エロスもこれまでに比べ控えめ(笑)
デコボコがなくスムースなのでアルバムとしては聴きやすいものに仕上がっている。夏がテーマなので爽快感もあってついつい全編通して聴いちゃいますね。


アルバムのオープニング『WELCOME TO SUMMER〜二度目の夏〜』『SKY ’94』『I’m IN LOVE』の3部作感(いずれも大和曲)と、『FORBIDDEN LOVE』(千沢曲)の切なさが好きですね。

BECAUZ "WELCOME TO SUMMER ~二度目の夏~" PV


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というわけで、LOOKのデビューから10年経った1995年。LOOK/L3C/Becauzのメンバーはついに別々の道を歩むようになりました。その別々の道について、もう少しだけ続きを書かせてください。(続)


つぎの話→ LOOKについての四方山話(了)

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80年代後半に活動していたバンド「LOOK(ルック)」について、2016年に回想し、少しながい文章を記しています。
運良くこの文章を拾ってくださり、何かしら感じることがあった方はどうぞ遠慮なくコメントを。
詳しい説明はこちら → 「LOOKについての四方山話」について