LOOKについての四方山話(追記1)

ex-1 LOOK LONESOME LANE CLUB(L3C) (1989-1991)


LOOKからリードヴォーカルの鈴木とーるが脱退した翌年の1989年。高校3年となったわたしは、いよいよ大学受験に向かう生活となっていました。
とーる君が脱退した後も、LOOKのファンクラブは同じ形で継続し、情報源はファンクラブからの会報のみとなっていました。
LOOKとしての活動がない中、千沢さんは曲作り(この頃には他人への楽曲提供もしていた)、はるきちさんは日本テレビの刑事ドラマ『ハロー!グッバイ』の劇伴(サントラCDも出た)、チープさんは渡辺貞夫さんのライブサポートなどそれぞれにお仕事。
会報では千沢さんから新しいヴォーカルを入れず3人で活動していく趣旨の発言があり、ついに千沢さんがリードヴォーカルになるんだ!と浮き足立つ千沢ファン(笑)
そして、確か89年初秋ごろの会報で「LOOKが11月末にシングルを発売、次号の会報で重大発表あり」と告知があったのです。


で、その次に確かこのリーフレットが届いたのであった。

ん?4人??
で、この若いひと、誰?え、あたらしいヴォーカル??
あとこの長いバンド名は何?????


と、わたしのみならず、おそらくファン全員を混乱の渦に巻き込んだ、新ヴォーカル「大和邦久(やまとくにひさ)」加入、及びバンド名を「LOOK LONESOME LANE CLUB(ルックロンサムレーンクラブ)、略称L3C(エル・スリー・シー)」に変更するという発表。
3人が変わらず活動を続けてくれることに希望を持ちつつも、あたらしいヴォーカル入れないって言ったじゃん!という気持ちも正直あり、とにかく楽曲を聴いてから判断しようと。


1989年11月28日、LOOK LONESOME LANE CLUBデビュー曲『さよならは冬の星座』発売。

LOOK LONESOME LANE CLUB "さよならは冬の星座" PV
(PV、約30年の時を経て初めて見ました)
第一印象は「悪くはない」が「インパクトもない」。
かと言って、ヴォーカルが変わったというだけであっさり離れてしまうほど他の3人への愛情が薄れていたわけでもなかった。なので、熱心に聴くかどうかは一旦保留にさせてください、という気持ちでした。
ちなみにこの時期は、ファンクラブの会員を集めた決起集会にメンバーが各地を回り(当然名古屋も来た)、お披露目ライブがあったり年末年始にかけツアーもやっていましたが(これも名古屋に来た)、いよいよ受験本番の時期で当然それに足を運ぶどころではなく、L3Cデビューのあれこれを経験しないまま時が過ぎていきました。取り残されたなあと感じつつ…。


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ついに90年代に突入。1990年4月、わたしは大学に進学。残念ながら第1志望校には受かりませんでしたが、得難い経験がたくさんあった良き大学生活でした。


1990年3月25日、LOOK LONESOME LANE CLUB 1stアルバム『I LOVE YOU』発売。

ジャケットとか歌詞カードのデザインが全体的にもっさりしてるのが不満


この頃には大学進学が決まっていて、ようやく余裕を持ってあたらしい音に向き合える環境になっていました。
アルバムは正直やっぱり最初はインパクトなかったけれど、大和さんの声にも随分馴染んできたし、好意を持って受け入れられるほどに。
シングル収録曲が2曲ともミディアムバラードだったので、そんな曲ばかりだったらどうしようと不安でしたが、アッパーな曲もたくさん入っていて安心しました。


全曲リードヴォーカルは大和さんで、他のメンバーのソロ曲はなし。詞は『さよならは冬の星座』は松井五郎さん(安全地帯!)ですが、他はチープさんに加え大和さんが手がけるようになったのがまず大きな変化。そして曲も大和4曲・千沢4曲・はるきち2曲・チープ1曲(!)というように、とーる君と違い、大和さんはヴォーカルのみならず作詞作曲も多く手がけていました。アレンジは基本的にL3Cとなっていますが、大和さん以外のメンバー名が併記してある曲も。
このようにメンバー4人全員がまんべんなく作品に関わっていますが、仕上がりはシンセサウンドなはるきち色が強い印象です。ファンクラブの会報のインタビューによると、サウンドの最後の決定権は、はるきちさんが持っていたとのこと。
LOOKとは音の印象がかなり変わったものの、全員が歌える強みを活かした美しいコーラスワークはLOOK時代を彷彿とさせます。そして大和さんの歌、ほんとうまい。甘く伸びやかなヴォーカル。サラっと聴けてしまう声だけど、実は高低差のあるメロディも難なく歌いこなしている。


アルバム最初の『I Believe』と最後の『FOREVER』は、作曲と主のアレンジをはるきちさんが手がけていますが、どちらも珠玉かつ渾身の名作だと思います!『I Believe』はのちにCMソングにもなっています。
このライブ映像、会場が名古屋久大通公園のセントラルパークじゃん!

あいびりーぶ (えるすりーしー)
そういえばはるきちさんですが、LOOKでは(最後のシングル曲を除き)作家名では本名の治彦を名乗っていましたが、L3Cでは作家名でもはるきちと名乗るようになっていますね。


大和さんの曲では『クローズ ユア アイズ』『Voyage』が好きですね。当時もこの2曲は好きな曲上位だった。
そしてチープさん初作曲の『Dancin’ Shoes』はチープさんがずっとやりたかったであろうファンキーなダンスミュージック。これはLOOKではやれなかっただろうし、やらなかったと思う。大和さんという大人のヴォーカリストを迎えたからこそ生まれた楽曲でしょう。


千沢曲は先行シングルの『さよならは冬の星座』は個人的にはそれほど、なのですが(すまん)、『NIGHT FLIGHT』はカッコいいし、『Funny Cry』は千沢さんに歌ってほしかったなあ!サビ最後の「♪Funny Cry〜」の後のスキャット部分、あれはきっとデモテープにも入っていたに違いない…!と、どうしても千沢さんの歌声で脳内再生されてしまいます(笑)。『やるせない想い』はLOOKにも通じるポップな曲調でサビの大和千沢のハモりもLOOKの面影があり、いま異様にハマっている(笑)。しかし反面詞が寂しげな内容というギャップがL3Cってことなのかな。


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アルバム発売からほどなく、4月25日にフレックスホール(現ダイアモンドホール)でライブがあり、早速足を運びました。
待ちに待ったL3Cのライブ、楽しかった。客席はちょっと大人な雰囲気になっていたけど。ちょうどこの日は大和さんの27歳の誕生日で、アンコールの前にファンがハッピーバースデーを歌ったり、誕生日ケーキが出てきたり、お祝いムードでした。
お話のお兄さん(チープさん)と伴奏のお兄さん(はるきちさん)が健在で(笑)、そのお話を受けて演奏されたのが、なんと『夜明けの不良少年と街角のぺ天使のバラード』!千沢さんのあの名曲!LOOKのライブではついに聴くことができなかったのに、まさかここで聴けるとは!!神様ありがとう!!!ファン続けててよかった!!!!!


このライブに行く頃にはすっかり熱心に聴くようになっており、それを証拠に90年6月に52ページのL3C本を出したんですよね。ぜんぜん売れなかったけど(笑)。
同人誌を出したのはこれが最後でした。


そしてこの熱が高じて、90年7月にはファンクラブ主催の宿泊イベントに参加してしまいました。
メンバーを交え、みんなで山中湖へ行こうという趣旨のイベント。全国各地より総勢100名が参加。午前中に集合のため、夜行バスで東京まで向かいました。
1日目は新宿に集合しバスに乗り込んで、山中湖にあるレコーディングやリハーサルもできるという宿泊施設へ。夕方メンバーを交えバーベキューパーティー、夜はスペシャルライブ(という名の宴会芸w)、ゲーム大会などなど。2日目はL3Cが出演する野外フェスをみんなで観に行くというスケジュールでした。
イベントに関する細かい記憶はほとんどないのですが、ここでわたくし、ファン歴5年目にして、憧れの千沢さんについに直接お目にかかり、握手をしていただいたのでした!!神様ありがとう!!!ファン続けててよかった!!!!!
(あとバーベキュー大会の時に、チープさんが焼いたお肉をいただいたのであったw)


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90年11月には2ndシングル『もっともっと』がリリース。

もっともっと (えるすりーしー)
リリースツアーとして、名古屋にも11月12月1月と3ヶ月連続でライブに来ていたようです。手元にこの時のツアーパンフがあるので、いずれかの公演には行っているはずなんだけど、残念ながらそのライブについては記録も記憶も全くありません。
そんな中、1991年1月、ファンクラブよりまたもお知らせ。2月をもってL3Cからはるきちさんが脱退し、同時に残りの3人は事務所を移籍しファンクラブも終了するとのこと。はるきちさんは裏方として音楽活動を続け、残りの3人はバンドを継続という形に。
これが実質的にL3Cの活動休止となりました。活動期間はわずか1年3ヶ月。


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この件についてはさすがに一度大きなショックを経験しているおかげで、まあみなさん音楽活動は続けるんだしなるようになれば、という感じ。
実はこの頃になると、大学のサークル活動(演劇部)にかなり打ち込むようになっていて、物理的にも金銭的にも精神的にも、自分の中で音楽にかける割合が低くなっていました。


もっとも、L3CのことをLOOKほど高い熱意を持って聴き続けることができなかったことも大きかった。
期待されていた千沢さんヴォーカルもはるきちさんヴォーカルも、いよいよ登場するかと思われたチープさんヴォーカルもなく、L3Cでは新加入の大和さんヴォーカルの曲だけになってしまった。大和さんがよくなかったというわけでなく、大和さんのヴォーカルだけがクローズアップされた形になってしまった。ライブでも大和さん以外のメンバーがソロで歌うことはほとんどなかったし(千沢さんがLOOK時代の曲を1曲程度、はるきちさんも最初こそソロ曲を歌ったものの後半は歌わなくなってしまった)。LOOK時代にはたくさんあった千沢さんとのツインヴォーカルの曲すらなくなった。
曲も大和さん含め全員で作るようになり、千沢さんの作る曲に惹かれていた自分は、千沢さんの比重が低くなってしまったことも大きかったな(L3Cになってからバンドリーダーもチープさんに変わったしね)。歌詞の内容も東京(都市生活者)色が強くてリアルに感じ取れず、大人のラブソングにもなかなか共感できるツボがなく。
結局、自分の抱いていた期待とずれが生じてしまったということだったんでしょうね…残念ですが、仕方のないことです。
ところが、ツインヴォーカルの曲がCD未収録曲にはあった模様!なんでこれもっとはやく出してくれなかったの〜少しは期待を繋ぐことができたかもしれないのに!千沢さん作曲っぽい…

せいぐっばい (えるすりーしー)


ただ、年齢を重ねいろいろな音楽を聴いてきたいま、あらためてL3Cを聴くと、なるほどね〜!という部分も多く、楽しんで聴ける。たぶん自分にはちょっと早すぎる音楽だったのかもしれません。
当時これが時代に合っていたのかどうかはわかりませんが、いまAOR的な楽曲も一周回って評価もされていますので、再評価されてもいいのでは?とちょっと思います。誰か再評価してください(笑)


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そんなわけでこの後わたしは千沢さん・チープさん・大和さんの3人の音楽活動から離れ、大学生活を邁進していきました。
しかしこの話はここでは終わりません。“なぜなら(ビコーズ!)”さらにさらに続きがあるからです。(続)


つぎの話→ LOOKについての四方山話(追記2)…ex-2 The Becauz/Becauz(1992-1995)


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Hello Hello!検索からこのページに辿り着いてくださった皆様へ。
80年代後半に活動していたバンド「LOOK(ルック)」について、2016年に回想し、少しながい文章を記しています。
運良くこの文章を拾ってくださり、何かしら感じることがあった方はどうぞ遠慮なくコメントを。
詳しい説明はこちら → 「LOOKについての四方山話」について