LOOKについての四方山話(その13)

4-2 OVER-LOOK(1988)


1988年2月26日、LOOK4枚目のアルバム『OVER-LOOK』発売。

このアルバム、レコードとCDでジャケットデザインが違うんですよ。CDの方の、表面に2人しか出てないデザイン、ダメでしょ…。


アメリカの音楽プロデューサーALAN BREWERからまさかのプロデュースのオファーを受け、メンバー全員で1ヶ月半ニューヨークに滞在して制作したアルバム。
クレジットを見ると、レコーディングの演奏はほとんど現地のミュージシャンによるもので、メンバーの名前はヴォーカル以外の部分にはほんの少ししか登場しない。よって、音の雰囲気も前作までとは明らかに違い、骨っぽいものになっている。
全体的にちょっと残響が過ぎる感もあるけど、4枚のアルバムの中では、音の面では今でも古びず聴けるものとなっている気がします。


作詩は1曲を除き全て前作から参加している相良光紀さん。相良さんはこの頃にはLOOKの雑誌記事やツアーパンフで頻繁に文章を書いていて、まるで専属コピーライター、準メンバー的存在となっており、ニューヨークレコーディングにも同行しています。
チープさんがこの時期スランプで詩が書けない状況だと話していましたので、まあ自然な流れなのかなと、わたしも相良さんの詩を前作ほどには違和感なく受け止められる状態となっていました。


作品自体は、表向きは全編ALAN BREWERのアレンジとプロデュースとなっています。しかし、当時のインタビュー等を読むと、当然メンバーと相当な意見交換があったと考えられ、共同プロデュース作品と呼んでも良いのかもしれません。
外部のひとがたくさん入っていた作品にも関わらず、メンバーが長期にわたり現地に滞在して制作に関わっていたということもあって、不思議と納得して聴けたんですよね。曲も全体的に今までにない雰囲気で新鮮だったし。
まあ単純にLOOKのあたらしい曲が聴けるってのが嬉しかったのかもしれませんが。


Side-A (All Songs Arranged & Produced by ALAN BREWER)


1.MIDNITE FLYIN’
作詩:ALAN BREWER 作曲:千沢仁


アルバムはじまりが千沢ヴォーカルってのもびっくりですが、さらに驚きなのがオール英語詩!いきなり出してきましたね〜ニューヨーク感(笑)。発音がアレなのはご愛嬌wですがこれはかっこいいな!ホーンセクションがゴージャスな、アップテンポのロックナンバー。アウトロでは久しぶりのとーる君の弾きまくりギターも収録!
千沢ファンにはたまんない1曲ですが、これ結局一度もライブで演らなかったのよね。ライブでこの曲歌う千沢さん見たかったし、この曲で踊りまくりたかったな〜!


2.PLANET GIRL
作詩:相良光紀 作曲:千沢仁


さらにアップテンポなナンバーが続きます。シャッフルのリズムに乗せたシンプルな楽曲ですが、とーる君のヴォーカルもいいし(ちょっと大人っぽくなった)、メンバー全員による厚みのあるコーラスワークも素晴らしい。
この曲、ライブではアカペラ始まりだった。『OVER-LOOK』は音源はほとんどメンバーが演奏していないので、ライブ向けにちょこちょこアレンジを変えていて、ライブで音源との違いを聴くのも楽しみだったんだよね。
ちょうど『OVER-LOOK』がリリースされた頃のスタジオライブの音源をあげてくださっている方が。音質も比較的よいのでこの音源を中心にご紹介します。

PLANET GIRL / LOOK



3.冬のソリティア
作詩:相良光紀 作曲:千沢仁


千沢ヴォーカルのナンバー。静かにはじまり、後半にかけゆっくりとドラマティックに盛り上がる『ロンリー・ダンサー』系統のバラード。
詩の内容はちょっとキザっぽくて、んー、個人的には入り込めない部分もあるのですが、結局この愛する歌声に聴き惚れちゃって、やっぱり負けた〜(笑)って。チープさんの泣きのサックスもすてき。今でも根強い人気のある1曲。
ライブヴァージョンは1コーラス目はピアノ弾き語り。

冬のソリティア / LOOK



4.ブルースカイと黄色いTシャツ
作詩:相良光紀 作曲:千沢仁


まず何をおいてもこの疾走感!そしてAメロBメロサビいずれも雰囲気違うこの感じ!ザ・千沢メロディ帰ってきた〜!と嬉しかったなあ。鮮やかな印象の詩も好きだ。今までにないタイプの曲で新鮮でした。前作『WINGS』で個人的に感じていた停滞感を吹き飛ばすような爽快さがこの曲にはありました。
この曲でもとーる君のエレキソロが聴けます。とーる君ライブではエレキをマイクスタンド使って弾いたり、結構やんちゃな一面も見せてたんだよね。
ライブヴァージョンもステキーー

ブルースカイと黄色いTシャツ / LOOK



5.OH, CAROLINE
作詩:相良光紀 作曲:千沢仁


この曲も今までにないタイプの曲。8分の6拍子のリズムに乗る転調メロディ(どこへ行くのかわからないこの感じよ〜)に乗せ、やさしい声で春の訪れを歌う千沢さん。アコースティックギターの音色。コーラスも全て千沢さんの声をオーバーダブしてあって、全体的にまさに春っぽいふわりとしたムードが漂っている。ラストの女の子たちの「La-La-La」のコーラスも印象的。
聴いた当初から大好きだった。このアルバムがリリースされたのが2月の終わりで、ちょうど春が訪れる頃に聴き込んでいたこともあり、毎年春の匂いを感じると、そっと心の中から取り出しては思い出す、私にとって大事な大事な1曲です。
しかしこの曲も一度もライブで演らなくて、結局生で聴くことはなかったんだよねえ…(涙)。


おっ、気づいたらこのアルバム、A面は千沢ヴォーカル曲の方が多いじゃないか。B面は次回。(続)


つぎの話→ LOOKについての四方山話(その14)…4-3 OVER-LOOK(1988)


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80年代後半に活動していたバンド「LOOK(ルック)」について、2016年に回想し、少しながい文章を記しています。
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