LOOKについての四方山話(その16)

終章 HELLO GOOD-BYE(1988.12.24)


1988年11月に入ってすぐぐらいのことだったでしょうか。ファンクラブから会報が届きました。いつもと様子の違う誌面。
掲載された文章の中に、こういった一文が書かれていました。


「とーるさんが、88年12月31日をもってLOOKを脱退します。」


程なく『PATi-PATi』誌上でもとーる君脱退の発表。
その直後に行われた11月12日の京都の学園祭ライブは、異様な雰囲気だったらしい。(当然だよな…)


1988年11月2日。LOOK8枚目にして最後のシングル『冬のステーション』発売。
時代なのかついにレコードが出なくなり、8cmCDでリリース


冬のステーション
作詩:相良光紀 作曲・編曲:山本はるきち


別れの歌(泣)
作曲と編曲がはるきちさん。LOOKの曲でメンバーの個人名が編曲クレジットに出てくるのははじめて(はるきちさん自身が歌っている曲を除き)。アレンジまさにはるきち節。あと、今まで本名の「治彦」表記だったのが「はるきち」表記になってる。
このシングルに関しては、時期が時期だっただけにあまり掘り下げた話を読める機会がなかったのだけど、どういう制作過程だったんだろうなあ。


HELLO GOOD-BYE
作詩:広石正宏 作曲:千沢仁 編曲:LOOK

LOOK / HELLO GOOD-BYE


『少年の瞳』のサビメロディのサックスソロからはじまる、最後の最後に発表されたLOOKの曲。
詩はチープさん。とーる君への(ファンへも、かな)メッセージとしか読めない内容で泣ける…千沢ヴォーカルってとこがまた、ね…。


この2曲はシングルのみのリリースでアルバム未収録ですが、『冬のステーション』はベスト盤の両方ともに収録されています。

LOOK ゴールデンJ-POP THE BEST

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そしてついにこの日がやってきました。
1988年12月24日、名古屋港湾会館。
わたしにとってLOOK最後のライブです。この日は楽日1日前。この翌日の12月25日渋谷公会堂が千秋楽でした。
いつも会場は勤労会館だったのに、最後のライブでキャパが今までよりも小さいところになってしまった。せつない…(会場が押さえられなかった、ということにしておきたい)。結婚式場も併設された妙な会場だった。今も港湾会館自体はあるものの、ホールや結婚式場はなくなった模様。
しかしとーる脱退発表から最後のライブまでが2ヶ月もない!こんなに短かったっけ?よく耐えたなファンのみんなよ…。(キリンジですら半年あったぞ!)
チケット。印刷の時代は終わったのかねえ…


(最後のライブの話、ちょっと長めに書かせてください)
幕が開くとそこはStardustClubだった…!
星がまたたく夜景をバックにそびえ立つセットには赤いネオンで「StardustClub」の文字。毎回わたしたちを楽しませてくれたライブの定番曲『STAR DUST CLUBで人生を…』のStardustClubが、実際に目の前に現れたのです。
は〜最高のファンサービス…!


そしてStardustClub店長(笑)のチープ広石が客席からなんと歌いながら登場!(注:チープさんは歌えますがLOOKでリードヴォーカルを取ったことはありませんでした) 胸にさしていたバラにキスをして1列目の子にプレゼント!んも〜客席はキャーキャー大騒ぎ!
その後チープさんが店長(司会)となってメンバー一人一人を呼び込み。「イニシャルはCCS…チャーリー千沢スペシャルです!」いつからチャーリーw チャーリーによる『Ring! Ring! Ring!』(クリスマス定番。あ、一応この日はクリスマスライブ。)、サポートメンバー3名を迎えたのち、「ナンパ師、スケコマシ(ヒドイw)、山本はるきち」はるきちさん、センターに立って未発表のバラード『With You』を熱唱。
最後にとーる君を呼び、メンバー全員が揃う。『シャイニン・オン 君が哀しい』『冬のステーション』『少年の瞳』。しっとり系の楽曲を新旧取り混ぜて。


弦楽四重奏を迎えたクリスマスコーナー(演奏曲は前年とほぼ同じ、一部とーる君参加せず)を挟み、再びLOOKの曲へ。賑やか曲が続く選曲。クリスマスということで『KNOCK!』も演った。
圧巻は全8曲をすこしずつつなげたメドレー。最後のコンサートなので過去曲をたくさん演ってあげたいが時間が限られているということで作られたのか。『ト・ビ・ラのむこうで』『ロンリー・ダンサー』が入っていたり(千沢担歓喜)、『まるっきりKITTY』の「♪I’m Just A Kitty」コーラスにのせはるきちさんが『スマイル・アゲイン』を歌い、『時間のメリーゴーランド』の「♪Time Time Any Time」コーラスにのせとーる君が『恋はフェアリー』を歌うなど、凝ったアレンジが施されていました。このメドレーよかったなあ。
コソッ(当時の記憶メモと答え合わせした…合ってた!はるきちさんハンドマイクwww)

めどれー



アンコールは千沢・はるきち・チープの3人で『HELLO GOOD-BYE』バラードアレンジ。しんみり…。
そして『夢見るシンディ』。まわりはとても泣いていたが、自分は泣けなくて「卒業式で泣かないと冷たい人と言われそう」状態(ちょっとだけ泣きましたけどね)
とーるMC。ここではじめて脱退に触れる。
最後は前年のライブでも演ってた『ジングルベル』のロックヴァージョン。


演奏後、客電がついても鳴り止まない拍手に、再びサポート含めたメンバー全員がステージに出てきてくれた。
最後にとーる君「とーるのバカヤローッ!」「LOOKのバカヤローーッ!!」…もう、ほんと、アンタは、なんてヤツなの……!つられて「バカヤローッ!」って叫んでしまった。気持ちよくて、笑ってしまうくらいに。
とーる君を笑顔で送り出すことができた、最高のライブとなりました。


セトリあげときます。

動画検索するとこのとーる君脱退ライブ(たぶん最終日の渋公)の映像がたくさんあがってるんだけど、それなりにカメラの台数も多いし、絶対のちに何かにするつもりで撮っててお蔵入りしたやつだと思うんだ…


ちなみに本作りは休止したはずなのに、年明けて2月に本を発行しています(笑)。名古屋港湾会館のコンサートレポート本(同人誌)。
同じ日に名古屋でライブをご覧になった仲の良かった方数名に原稿をお寄せいただき、自分もレポート漫画を描きました。A5判28ページ。


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デビュー間もなくから、ずっと夢中で彼らを追い続けた3年半。長かったような、短かったような。
中学2年生から高校2年生という、一番多感な時期を共に過ごしたひとたち。
誰にでもいるのだろうか、そんなひとたちが。


リリースされたアルバムは4枚。発表された曲は50曲にも満たない。
見届けられたライブは6本。200本以上のライブのうち、たったの6本。ファン歴の前半はライブを見ることもできなかった。
しかしとーる君脱退が大学受験の1年前だったのは幸いだったというか…これがもし受験直前だったら、おそらく最後を見届けることもできなかったし、下手すると受験どころじゃなくなっていたかもしれない。


とーる君脱退の話を聞いたときの心境は実はあまり覚えていないのだが、発表直後はさすがにショックだっただろう。しかし、とーる君脱退後も残りの3人がLOOKを続けるとのことだったので、その後は不思議なくらい冷静に受け止められていたと思う。
わたしはLOOKの中でとーる君が一番好きというわけではなく、4人とも好きだったので、4人が音楽を続けてくれることに希望を持っていた。
とーる君在籍最後のライブも、いつもどおり、いや、いつも以上に充実した気持ちで見ることができた。


まあ、不安がなかったと言ったら嘘になるけど。


LOOKの最後のライブから、ほどなくして年が明けました。1989年1月、時代は昭和から平成へ。
この四方山話には続きがあります。


もう少しだけ、続けます(続)


つぎの話→ LOOKについての四方山話(追記1)…ex-1 LOOK LONESOME LANE CLUB(L3C)(1989-1991)


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Hello Hello!検索からこのページに辿り着いてくださった皆様へ。
80年代後半に活動していたバンド「LOOK(ルック)」について、2016年に回想し、少しながい文章を記しています。
運良くこの文章を拾ってくださり、何かしら感じることがあった方はどうぞ遠慮なくコメントを。
詳しい説明はこちら → 「LOOKについての四方山話」について